小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

UIとUXを併記するのはやめた方がよいのではないか

 「UI とUX の違い」の議論にはいつも違和感を感じる。写真によるこの説明も、なんとなくわかったようなわからないようなモヤモヤとした気持ちになる。

こういう時は用語の定義を明確にすると自ずと結論に導かれることが多い。

ユーザーエクスペリエンス – 私たちの定義

「ユーザーエクスペリエンス」は、エンドユーザーと、企業およびそのサービスや製品との相互作用について、あらゆる面を対象として含みます。典型的なユーザーエクスペリエンスの第一要件は、イライラや面倒なしに、顧客のニーズを正確に満たすことです。その次の要件として、製品に所有する喜びや使用する喜びをもたらす簡潔さと気品が求められます。真のユーザーエクスペリエンスは、単に顧客が欲しいと言ったものを提供したり、顧客が期待した機能を提供したりするだけには留まりません。企業が高い質のユーザーエクスペリエンスを実現するためには、多くの専門分野、たとえばエンジニアリング、マーケティンググラフィックデザイン、工業デザイン、インターフェースデザインなど、をシームレスに統合することが必要です。

ニールセン/ノーマンによるユーザーエクスペリエンスの定義 — Website Usability Info

ユーザに対する情報の表示様式や、ユーザのデータ入力方式を規定する、コンピュータシステムの「操作感」。 

ユーザインターフェースとは【user interface】(UI) - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典


こうしてUIとUXの定義を並べてみると、本来違いを比較すべき対象ではないことがわかる。UXの良し悪しを決定するのはUIだけではない。例えば機能性も良いUXを実現するための重要な要素だ。例えば旅先で目の前の景色を写真に撮ってSNSでシェアしたいと思ったとする。この時SNSがモバイルで写真をアップする「機能」を提供していなければ、そのユーザーにとって「悪いUX」のサービスだ。UIはUXを構成する一つの要素でしかない。

 本来レイヤーの異なる概念にも関わらず、「UI/UXデザイン」といったようにUIとUXが併記されることが多いのがそもそも混乱の原因ではないか。   

J・ニールセンとD・ノーマンが高い質のUX実現には「エンジニアリング、マーケティンググラフィックデザイン、工業デザイン、インターフェースデザインなど、をシームレスに統合することが必要」と書いているように、UIデザイン(インターフェースデザイン)はUXを構成する一つの要素に過ぎないのだから、UI/UXと併記するのはやはり不自然に感じる。 

UXは製品開発におけるすべてのプロセスに関わる概念だ。「UI/UX」のようにUIデザインにだけに関係するものと誤解させるような書き方は、そろそろやめた方がいいのではないか。