小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

佐藤可士和の超整理術を読んだ。

これまで佐藤可士和氏については、「有名なクリエイティブディレクター」「ユニクロのロゴをデザインした人」程度の認識だったんだけど、本書を読んでいっぺんにファンになってしまった。

「整理術」というタイトルなので、書類の整理・情報の整理といった話を想像して正直なところ内容にはあまり期待していなかった。

ところが読み進んですぐにそれは誤解だったことに気づかされる。「デザインの力で社会に新しい価値を提供する」を理念とする佐藤可士和氏の思考方法が非常にわかりやすく記されていた。

方法論としては、ヒアリングによる徹底的な情報収集・仮説設定・ワンメッセージでの論点表現、と企画やコンサルティングに関する仕事に従事している人であれば特に目新しいものはないかもしれない。

本書の価値は方法論の目新しさではなく、ロジカルな思考法とアーティストのクリエイティブな表現力が結びつくと、いかに強力なアウトプットが可能か、という実例が示されているところだ。

社会の課題を解決するには、ロジカルなだけでも美的表現力があるだけでもだめで、その両方が一つになってこそ人を動かし、世の中を変えるものを作り出せる。これが本書のメッセージだと感じた。

このメッセージはアートやデザイン以外の分野でも通じるものだ。課題解決の手段が佐藤可士和さんの場合はアート・デザインだが、例えばIT業界ならソフトウェアが課題解決の手段となる。すべての分野のビジネスパーソンにお勧めしたい一冊だ。