小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

ユーザーのフラストレーションがキャズムを超える原動力になる

下記のエントリで、Jeff BonforteのEmotional Adoption Curveを紹介した。これはTechnology Adoption Curveをユーザー感情で捉え直したものだ。

Jeff BonforteはGeoffrey Mooreのキャズム理論を否定しているわけではない。ただ、製品デザインを考えるためのツールとして、Technology Adoption Modelが「直感的に理解しづらい」と感じて別のラベル(Lovers 、Irrationals、Efficients、Laughers、Comfortables)をつけたのだ。
(Jeff BonforteはYahoo!のコミュニケーション関連製品のシニアバイスプレジデントだ)

Inspiredに収録されているインタビュー*1で、ヒット商品を作りたければ人々が感じている「怒り」に注目すると良い、とJeff Bonforteは語っている。「怒りを感じている人々はテクノロジーの未来を予見している」とのことだ。

Lovers以外のIrrationals、Efficients、Laughersは程度の差はあれ共通の感情に促されて製品を購入する。その感情とは怒り、憤慨、フラストレーション(anger,exasperation,frustration)だ。何かに怒りやフラストレーションを感じているIrrationalsの存在がなければ、キャズムを越えてEfficients、Laughersまで製品を普及させることはできない。「好きな1曲のために15ドル出してアルバムCDを買わなければならない時に感じるフラストレーション」が例としてわかりやすい。

キャズムを越えられなかった製品としてウェブカメラが例に挙げられている。ウェブカメラがあると便利だと思う人は多かったが(子供の様子を確認したい、と思った時など)、無いからといって大きなフラストレーションを感じる人は少なかった。(子供の様子を知りたければ電話をすればいい)

 

自分たちの顧客がどの様なフラストレーションをどの程度感じているのか、改めて考えてみると新たな発見があるかもしれない。ペルソナを整理する際は、ターゲットのフラストレーションをインサイトとして書き出してみると良さそうだ。

*1 Inspired Chapter35:THE EMOTIONAL ADOPTION CURVE An Interview With Jeff Bonforte