小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

これからの日本を生きるための新常識(書評:モチベーション革命)

この本はとても「当たり前」のことが書いてある。当たり前なんだが、まだ気がついている人が少ない考え方が書かれている。気づいている人が読めば「やっぱりそうだよね」と自己肯定できるし、気づいていない人が読めば新しい世界が広がるだろう。(若者向けのサービスを提供しているPMには「さとり世代」のメンタルモデルを理解するヒントにもなると思う)

この本には、強みを活かすポジティブ心理学、Whyから始める、原体験を大事にする、社会的意義、インサイトの重要性、評価経済の時代、など普段僕自身が考えていることがほぼ網羅され、言語化されている。

ちょっと前にFacebookでよくシェアされていたIkigaiベン図?の話も出てくる。

Ikigai(生きがい)とは、
・That which you love
・That which the world needs
・That which you can be paid for
・That which you are good at
の4つの輪が重なるところだ、という図だ。

よくキャリアを考える上で「Will/Can/Mustを整理せよ」と言われるが、僕にはこの4つのサークルで考えるほうがしっくりくる。キャリアを「考えさせられる時」の「Will」というのがちょっとクセモノなのだ。Willというのは要するに「やりたいこと」なわけだが、「(本当にやりたいことから逆算するとこれを今はやらなければならないから)やりたいこと」という長い枕詞が隠されている。その隠された部分に本当に納得していればいいのだが、百戦錬磨の上司に言いくるめられてなんとなく「そうなのかも」と思わせられてしまったり、自分をごまかしてしまったりしている時があるw

だが「That which you love」にはそういう隠された部分はない。また、「Must」という言葉には義務感を感じるが、「That which the world needs」には使命感は感じても義務感は感じないだろう。

でも社会人のなりたての若い人にさあこのベン図でIkigaiを整理してみよ、と言ってもなかなか難しいと思う。自分が20代の頃を振り返ってもそう思う。
何故かと言うと若い人には選択肢が多いから。まだ何者にでもなれる選択肢と未開花の可能性があるから。それはすごく素晴らしいことなんだけどつらいことでもある。
僕ぐらいの年齢になると幸か不幸か選択肢が少なくなる。自分は何が好きで、何が得意かもだいたいわかってくる。だから迷わないで済むし、楽になっていく。年をとることの良い側面だ。

で、この本の著者の尾原さんも書いているんだけど、自分のIkigaiがわからない場合は、とにかく目の前のことにがむしゃらに取り組んでみると良いと思う。(ただし健康には気をつけて)小さな目標を立ててそれを実現するためにまずは頑張ってみるのが良いと思う。

なんだかおっさんの説教じみた書評になってしまったけど良い本なので是非読んでみて欲しい。Kindle Unlimitedで読めます。