プロダクトマネージャーの道具箱

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小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

もうMVPでは通用しない。これからはMLP(Minimum Loveable Product)の時代だ!

プロダクトマネージャーの仕事

タイトルは釣り。

プロダクト開発に関わる人で、もはやMVP(Minimum Viable Product)という言葉を知らない人はいないだろう。"viable"は「存続できる」「実行可能な」といった意味で、MVPは日本で「実用最小限の製品」と訳されている。エリック・リース氏が提唱する新規事業立ち上げ手法、リーンスタートアップの基本となる考え方だ。

一方で、プロダクトはViableなだけでは不十分でLoveableでなければならない、というのが下記の記事の主張だ。

Minimum Loveable Productとは何か

キャットフードは飢えて死にそうな人にとってはMVPだが、ロイヤルカスタマーを生み出すにはあまりにも不十分である」というわけだ。そしてMinimum Viable Productに代わるものとして、Minimum Loveable Product(MLP)という考え方が提案されている。

 
MVPとMLPの違いについて、下記の記事中の図がわかりやすい。

f:id:tannomizuki:20150112114449p:plain(出典:Beyond MVP: 10 tips for creating your Minimum Loveable Product — Spook Studio — Medium

味が好まれるか確認するには左のケーキで十分だが、何度も買いたくなるか、友達に伝えたくなるかを検証するには、右のようなケーキにする必要がある。多くのユーザーに使ってもらうためにはユーザー課題を解決する機能性だけでは不十分で、実際には繰り返し利用され口コミが広がるような製品になるようにしなければならない、ということだ。

要するにMLPとは、機能性のみにフォーカスするのではなく総合的なUXを考慮せよ、ということだろう。

ロジックだけでなくエモーショナルな側面に注目する

エリック・リース氏によるMVPの定義*1は、「製造・計測・学習のサイクルを回すことが可能で、最小限の努力と時間で開発可能なバージョン」で、最終的な製品形態のことを表しているわけではないし、機能性に限定した話でもない。初期ユーザーに対する仮説検証サイクルを高速に回すための方法論だ。製品のターゲットが女子高生なら「かわいい」ことが当然MVPの要件に入るだろう。ただ、「実用最小限」という言葉に惑わされてMVPを誤って解釈し、機能性にのみ注目した改善を繰り返してしまう、という落とし穴は確かにあるかもしれない。

ユーザーはロジックだけで判断するのではなく、感情で判断する。hookedモデルAARRRモデルなど、スタートアップのための方法論はロジカルに整理されているだけに、「ユーザーに愛される」ためのエモーショナルなアプローチを見落としがちだ。

"Loveable"という言葉はユーザーのエモーショナルな側面に意識を向けるための良いキーワードになりそうだと個人的には感じた。

 

*1 “The MVP is that version of the product that enables a full turn of the Build-Measure-Learn loop with a minimum amount of effort and the least amount of development time"  - The Lean Startup: How Today's Entrepreneurs Use Continuous Innovation to Create Radically Successful Businesses