プロダクトマネージャー制度を導入するにはどうすれば良いのか
KAIZEN platform Inc. 技術顧問 伊藤直也さんの、プロダクトマネージャーに関するツイートがとても示唆に富んでいるのでまとめさせていただく。
ソフトウェアエンジニアのひとがなにかと口うるさいの、組織的な怠慢のツケをはらう羽目になるのがだいたい自分たちだから、というのはあるだろうね。ごまかしがきかない仕事だし
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
良く見る典型例は、企画とか品質を保証する仕事までエンジニアに丸投げして、エンジニア側にはその期待値がなくてお互いの思惑がずれる、みたいなケースだな。この場合にエンジニアがしょぼいものを作るから、と指を指されてるけど、問題は製品企画開発の責務を組織の中で曖昧にしてるところにある
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
たまたまエンジニアの中にそこまで含めて上手な人がいればまともなものが出てくる、ということに依存してるだけで、本来は組織的な枠組みで保証すべきことなのに、それをせずに、うまくいかないとエンジニアのせい。エンジニア側もそこがわかってないから仕様がとか納期がとかで反論して平行線
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
なので改めて、できる人を、組織の中でプロダクトマネージャーという役割に据えて組織的な構造を作るというのは、ある程度以上の規模には良い施策だと思うのです。
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
このときできる人を置くというのが重要で、できない人を置くと逆効果なのが難しいところです
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
ちなみにできるPMは会社にとって最も貴重な人材かつ、その会社の製品の良し悪しを決定づけるので、自分的には最も報酬が高くてよいと思っています
— Naoya Ito (@naoya_ito) 2015, 10月 21
僕も伊藤さんのツイートに完全に同意で、一定規模の組織ではPM中心とした枠組みを作って製品開発すべきだと思う。ただこれまでPM的役割が存在しなかった企業でPM制度を導入するのはそう簡単ではない。ロールモデルやフレームワークがない状態での制度導入は難しい。
外部からPM経験のある人材を登用するのが近道だが、日本ではPM人材が少ないor可視化されていないため採用自体がそもそも難しい。(ちなみにプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーはスキルセットが異なるので採用するときはご注意を。)
僕自身はプロダクトマネージャーの基本的な型を前職のサイボウズで学んだ。サイボウズでは製品を企画する際にコンセプトを整理するフォーマットが規定されている。担当製品のバージョンアップのたびにフォーマットに沿ってロジックを整理することで、PMに必要な基本的思考法が身についていったように思う。*1
その経験から言うと、まずはリーンキャンバスのような製品コンセプトを整理するフォーマットを導入するところからスタートするのが良いのではないかと思う。
ただ結局問題となるのは企画以降のExecutionの部分だったりする。ExecutionからがPMの仕事の本番で、PMにこの認識がないとプロジェクトは失敗する。PM制度を正しくワークさせるためには、外部からメンターとなる人を連れてくるか、PMが存在する社外のプロジェクトになんとか潜り込むなどして、PMの基本行動を目の当たりにする必要があるかもしれない。
11月に某オンライン講座でプロダクトマネジメントの授業を担当させていただく予定なのだが、PM制度導入のはじめの一歩になるような講義内容にしたいと考えている。
【10/26 追記】伊藤さんが本件についてブログを書かれています。