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消費者インサイトとは

インサイトとは?

インサイトという言葉の辞書的な意味は、「洞察」「物事の本質を直観的につかむこと」などであるが、消費者インサイトという用語は一般に、「消費者自身も気づいていない隠れた動機やホンネ」というような意味合いで使われる。
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

簡単に言えば「消費者のホンネ」のことです。ただ、ホンネのすべてがインサイトかというと、そうではありません。ブランディングマーケティング活動のアクションにつながるものに限られます。そうでないものは、いくら消費者のホンネであってもインサイトではありません。消費者自身が気づいていないような深層心理の中で、マーケティング活動に活用できる「心のホットボタン」がインサイトです。
「インサイト」を知ればマーケティングも変わる - perigee

なぜインサイトが重要か

出せば売れる時代ではなくなった

インサイトが注目された大きな背景としては、商品を出せば売れる時代ではなくなったことがあります。一昔前は、それなりのクオリティーの商品を作って広告し、店頭に並べれば売れましたが、最近は、そもそもモノが欲しいという気持ち自体が消費者の中で減ってきています。人の心をつかまないと、振り向いてもらえない時代になってきているんですね。
「インサイト」を知ればマーケティングも変わる - perigee

マーケットにおいて、インサイトという言葉が生まれたのは、消費者がモノをあまり買わなくなってきたことが背景にあります。どれだけ良い商品を出したとしても、その商品自体にそもそも興味がなかったり、商品があってもすでに従来の品の物でも満足してしまったりしているため、商品が今まで通り売れなくなってきたのです。
マーケティング用語として知っておきたい「インサイト」の基礎知識|U-NOTE [ユーノート]

従来の商品を改良したり、顧客の要望を聞いてものを改善していれば売り上げが上がらなくなってしまって、どのようにすれば、さらなる販売の拡大ができるのかということを考えたときに、消費者の隠れた本音や言葉に表れてこない視点を探るために「インサイト」という言葉が出てきたのです。
マーケティング用語として知っておきたい「インサイト」の基礎知識|U-NOTE [ユーノート]

スペックや価格だけでは購買意欲を刺激できない

しかし、消費生活はより複雑になりました。市場は飽和し、商品機能にも差がなくなり、クオリティや価格だけでは消費者の購買意欲を刺激することが難しくなってきています。新市場を創るような革新的な商品やマーケティング戦略を生みだすためには、「消費者インサイト」を読み解き、消費者自身も気づいていない「潜在的な欲求」を理解することが重要です。
消費者の「欲しい」と「買う」には大きな隔たりがある | 売れ続ける仕組みづくり講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

最近は若い人たちが車に乗らなくなってきていますが、そういう人たちに、他社より高スペックだと言っても意味がありません。車自体を欲しいと思わせることが大事です。そのためには、彼らが普段の生活でどんなことをしたいのか。それに対して車という商品がどういう役割を果たすのかを探って商品を作らないといけない。そうしないとメッセージも伝わらないということなんです。それが、今、さまざまなカテゴリーで起きているんですね。
「インサイト」を知ればマーケティングも変わる - perigee

消費者は自分自身の欲求や行動を理解していない

かつては「顧客のことは顧客に聞け」=「企業の勝手な思いでシーズ志向の商品を作っても売れない」と言われました。しかし、よく考えてみれば、私たち消費者は、すべての行動の理由を十分理解して行っているわけではありません。その結果、つい衝動買いしてしまったり、日常はほしいとも不便とも思っていなかったものを店頭で見つけて、「これがほしかったんだよね」と満足したりと、意識していない「潜在ニーズ」に気づかされることが時々あります。これこそが消費者インサイトです。顧客自身も気づいていない思いをくみ取り、商品・サービスという形にして提供して差し上げるというマーケティング(商品企画含む)に他なりません。
中央支部: 専門家コラム「顧客ニーズとインサイト」(2014年11月)

アメリカで、それに関するおもしろい実験があります。スーパーマーケットで大きいカートいっぱいにまとめ買いをするのがアメリカでは当たり前ですが、買い物客がレジに並ぶ前に、調査員が呼び止めるんですね。そこで調査員が聞く話というのは実はどうでもよくて、もう1人の調査員が、例えばその買い物客が「エビアン」を買っていたら、それをこっそり「ボルヴィック」にすり替えるのです。そして、レジで精算が済んで出てきたところにもう1人の調査員がいて、「あなたはボルヴィックを買いましたが、その理由は何ですか」と聞くのです。すると7、8割の人が、「これ、おいしいんだよ」「美容にいいから」「家内が好きだから」と、ボルヴィックを買った理由を当然のように答えたというのです。
「インサイト」を知ればマーケティングも変わる - perigee

インサイトの実例

プレミアムアイスクリーム

価格としてはデパ地下で売られているスイーツと変わらないのに
プレミアム・アイスクリームは
 □ 値段が高い
 □ おやつ
 □ 子供と一緒の時だけ食べるもの
と消費者に捉えられていました。
そこで桶谷先生が消費者調査を進めてたどり着いたインサイトは 「アイスって子供の食べ物だよね…」だったのです。
この本音ゆえに、上述のプレミアム・アイスクリームは
 □ 値段が高い
 □ おやつ
 □ 子供と一緒の時だけ食べるもの
という扱いを受けていたのです。
そこで桶谷先生はこのプレミアム・アイスクリームを「大人のアイスクリーム」である
と理解してもらうためのマーケティングを実施しました。
具体的にはTVCMを始めとした広告において外国人を起用して非常に大人っぽい演出を施したのです。
結果としてプレミアム・アイスクリームは
 □ 高級
 □ 一日の締めくくりに食べる自分へのご褒美
 □ 本物のデザート
という認知を得ることが出来ました。
このような商品に関するインサイトは「カテゴリーインサイト」と呼ばれています。
インサイト実践講座|プレジデントアカデミートピックセミナー(東京開催) | 経営者の継続的な成功のために開発された、会員制の経営改革プログラムです。|PRESIDENT ACADEMY


もう一つのインサイトは、「ヒューマンインサイト」と呼ばれるものです。
例えば「20代の女性」にプレミアム・アイスクリームをもっと買ってもらうためにヒューマンインサイトを探っていった時、桶谷先生は20代の女性が「ゆっくりとした時間を持つことに幸せを感じている」というインサイトに達しました。
そこで桶谷先生は、女性が贅沢な程にゆっくりとした時間を 過ごしているイメージを醸成するTVCMで、プレミアムなイメージを保ちつつも 「今どきのブランド感」を与えることに成功したのです。
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なぜスーパーマーケットで2個しか買わないのか

スーパー・マーケットなどと異なり、コンビニの場合は一度にたくさんの商品を買う人はそれほど多くない。来店客の多くが1個か2個の商品を買って店を出て行く。
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

このときに筆者が得たインサイトは、「コンビニではカゴを持たずに、片手または両手で商品をレジに持っていく買物客が多い。そのため、2個までは無理なく持てるが、3個以上になると持ちにくくなる。」というものだった
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

カゴを利用していない買物客が、買物途中でカゴを使いたいと思っても、わざわざ入口のところまで取りに行く人は少ないと思われる。一方で、店舗内の数カ所にカゴが置かれていれば、買物途中で両手がふさがってしまった人も容易にカゴを取ることができる。
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

入れ歯洗浄剤

「入れ歯洗浄剤」の事例でお話しましょう。ターゲットに対して、「この商品はいかにニオイを落すか」という情報を伝えると、購入意向は高まるのですが、実際に購入には至りませんでした。そこで、「入れ歯洗浄のケアは、みんながやっていることです」という情報を伝えると、購入するようになったのです。「みんなと同じケアをやっていないと恥ずかしい」というインサイト、ここが態度変容のポイントでした。
消費者の「欲しい」と「買う」には大きな隔たりがある | 売れ続ける仕組みづくり講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

瞬足

アキレスの運動靴「瞬足」は、運動場や体育館を走る際は常に左回りであるという条件をいかし、左回りに特化したデザインを取り入れ大ヒットを記録した。「運動会でコーナーを転ばずに上手く走りたい」という子供たち自身でさえ言葉にできないニーズをくみ取り商品化につなげたものである。
MBA経営辞書「顧客インサイト」 | GLOBIS 知見録 - 学ぶ

ルイ・ヴィトン

ルイ・ヴィトンインサイトの一つは「旅に出たい」という欲望だ。下の映像は、貴族が踊っている光景がメインパートだが、最初と最後にしっかりと「旅」の風景が描かれている。旅行鞄としてスタートしたブランドの、揺るぎないターゲティングである。

第二に「伝統を大切にしたい」というインサイトだ。上の写真には「親子3代ボクサーである」というストーリーが隠されているのだが、このことが、消費者の「伝統を大切にしたい」という"心のボタン"を刺激している。
「インサイト」とは何か? ~ルイ・ヴィトンの広告に隠された2つのインサイト~ | 坂井直樹「デザインのたくらみ」 | 現代ビジネス [講談社]

インサイトの調査方法

行動を観察する

直観的な行動や心理を一般的な調査手法によって明らかにすることは非常に難しい。直観的な行動について、「なぜこの商品を買ったのか」「なぜこの売場に立寄ったのか」などと消費者に質問しても、「何となく」とか「いつも使っているから」としか回答できないことも多い。
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

このような場合に消費者の行動や心理がなぜ生じたのかを把握するためには、消費者自身にたずねるのではなく、観測された結果からその要因を洞察することが必要となる。
「なぜ」を掘り下げると見えてくる消費者インサイトの活用法 消費者行動から考えるマーケティング【第2回】 | 早稲田大学ビジネススクール経営講座|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

アンケートを工夫する

「1ヵ月に2000円を上限に、サプリメントと健康食品を買うことができるとすれば」との仮定を提示したうえで、次の流れで質問をしていきました。

「(1)美肌(2)ダイエット(3)アンチエイジング(老化防止)(4)疲労回復(5)便秘解消――という5つの分野の中でどの商品を買いますか?」。

 この質問について、他の製品ジャンルとの相対値評価として回答をしてもらったところ、便秘解消という健康課題とそれを解決してくれる食物繊維という素材の魅力度は他の健康課題と比較して、決して高くないということがわかりました。
ユーザーのインサイト(=本音)をあぶり出せ|消費者のココロのスイッチを押すしかけ|ダイヤモンド・オンライン 

その後、我々は調査から出てきた「ファイバーデトックス」という新しい食物繊維の訴求メッセージをプロモートして、大きな成果を上げました。
ユーザーのインサイト(=本音)をあぶり出せ|消費者のココロのスイッチを押すしかけ|ダイヤモンド・オンライン 

対象に共感して一体化する

相手の置かれている生活環境への理解と、さらにダイブして得られる景色に深くダイブ=共感して、初めて理解できるいろいろな生活者行動実態とも言えるようなことでしょう。
これからのマーケターには、いろいろな相手にすぐダイブできるような共感力と、常にいろいろな相手の環境を理解するための情報を集めているというような心構えが必要になるんでしょうね。
マーケティングでいう「インサイト」とはいったい何か?意味は? | Mindbooster!!

仮面ライダーと、怪人のインサイトを考えて見ましょう。
あなたは仮面ライダーです。何が見えますか?世界はどのように見えますか?
そうです。世界は真っ赤にみえ、岩を砕く力、強靭な体が見えます。
そんな中、およそ普通には見えない「怪人」が向こうからくるわけです。真っ赤な世界で。
これは敵です。なので戦います。
では怪人からは?灰色の世界です。自分の手足をみるとかなり醜い変わった姿。
世の中すべてが灰色に見えます。人を恨みたくなります。
そんな中、カッコイイ仮面ライダーと出会います。向こうは襲い掛かってくる。
憎しみをこめて戦います。
どうでしょう?仮面ライダーと怪人にダイブした気分は?
この相手に「ダイブ」をしたときに得られる気持ちの動き、これがインサイトを得るということではないかと考えるわけです。
「相手になりきったときに初めて理解できる心の動き」=「インサイト」なのではないかと考えます。
マーケティングでいう「インサイト」とはいったい何か?意味は? | Mindbooster!!

その他、様々な調査方法

エスノグラフィ」「フォトダイアリー」「コラージュ・エクササイズ」「ワードカード刺激法」など手法はいろいろなものがすでに開発されてます。
「インサイト」を知ればマーケティングも変わる - perigee 

参考図書 

インサイト

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インサイト実践トレーニング

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