プロダクトマネージャーの道具箱

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小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

プロダクトマネージャーに訊く #5:GMOペパボ山本さん(後編)

PMインタビュー

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良いチームが良いプロダクトを作る

― minneに異動してから、PMとしてまずどんなことをしたのでしょうか?

去年の9月にminneチームに異動して最初に気がついたのは、規模が大きくなって全体感が見えづらくなっていることでした。minneチームではGitHub Enterpriseを使っていてWebやiOSアプリ、Androidアプリなどの単位でリポジトリが分かれているんですが、リポジトリごとにイシューが山積みになっていて、ステータスやタスクの粒度が見えづらくなっていました。

イシューをもう一段上のレイヤーで整理する必要があることに気づいて、全体観を見れるものをプロダクトバックログとしてTrelloにまとめることにしました。GitHubのイシューはどんどん埋もれていってしまいますし、良いアイデアが各リポジトリのコメント欄に眠っていたり、壮大な野望みたいなものがどーんと書かれていることもあります。目茶苦茶時間が掛かりましたが、全リポジトリのイシューを全部チェックして、全体観を見れるものをプロダクトバックログとしてTrelloにまとめました。僕は情報を全員にオープンにすることが重要だと思っているので、Trelloに色々な情報を集約して自分が普段考えていることや優先度がわかるようにしています。

― メンバーそれぞれが自分のタスクだけでなく、サービス全体の状況がわかるようにしたということですね。

一時期、壁に付箋を貼って、振り返りで出たアイデアや実施が決まった施策、終わったタスクなど、なんでも共有するようにしていました。各チームで話し合ったことが、GitHubのイシューのようなデジタルなところだけに保存されるのではなく物理的な壁に貼ってあることで、チーム全体の空気感や、誰が何をやっているのかがより見えやすくなります。

― minneは何人ぐらいのチームで開発してるんですか?

minneでは東京と福岡に60名ほどのメンバーがいますが、開発チームはサーバーサイドエンジニア、アプリエンジニア、ディレクター、デザイナーを入れて合計で20名程度です。

東京のメンバーは主にアプリとAPIの開発、福岡のメンバーはインフラやWebの開発がメインです。ディレクターが東京に1名、福岡に2名います。拠点が分かれているので、コミュニケーションの取り方やプロダクトマネージャーとしての立ち回り方については色々と試行錯誤しました。

― ディレクターと山本さんの役割分担はどうなっているのでしょうか?

minneチームではスクラムを導入しているので、ディレクターと僕でプロダクトバックログをみて、エンジニアやデザイナーと個別にやりとりをして技術的な判断をしながらスプリント計画を作っていきます。

僕がプロダクトバックログを整備して次に作るべきものを決めて、各ディレクターがディレクションや全体の進行管理をして開発を進めます。僕が開発メンバーと「こうしたほうがいいんじゃないの?」と直でやりとりするとディレクターが混乱してしまうので、一度任せたらあまり口を挟まないというスタンスをとっています。

― 良いプロダクトを作るためにどんなことを意識してやっていますか?

東京、福岡と開発拠点が分かれていることもあって、チーム作りはすごく意識しています。

僕自身が手を動かしてプロダクトを作れるわけではなく、解決したい課題をチームに伝えるのが僕の役割で、実際にその課題を解決するためのプロダクトを作るのはチームです。だからこそチーム作りとプロダクト作りは切り離せないですね。

― よいチームを作る上で具体的にどんなことをやっていますか?

事あるごとにメンバーと喋るようにしています。毎月一回、プロダクトチームの全メンバーと20分間の面談をするようにしています。福岡にも度々出張して、福岡の開発メンバーと直接話すようにしています。

定期的に面と向かって話すことで、修正コストが大きくなる前に問題を把握できます。「困ってることない?」とか、「最近、仕事楽しい?」とか、お父さんのような感じでコミュニケーションをしながらメンバーがフィットできるように環境を整えたり、チームの中で障壁になっていことがあればなるべく早い段階で取り除くようにしています。

PMがチーム作りに時間をかけることで、結果として良いプロダクトをより早く出せると思っています。僕はお節介焼きが好きなのかもしれません。チームのために工夫したり、メンバーのフォローしたりすることが苦にならないタイプなんです。

他のチームとの情報共有も積極的に行うようにしています。僕はプロダクトチームのマネジャーなんですが、作家支援、マーケティング、サポートの各チームにそれぞれマネージャーがいます。毎日夕方6時になるとSlackに通知が来て、定例のマネージャーミーティングを始めるんです。そこでその日の出来事とか、直近で困っていることや迷っていることを相談して、なるべく問題を翌日に持ちこさないようにしています。マネージャーという役割は孤独な側面があると思うんですが、お互いに相談しあえる場が毎日あるのはすごくありがたいですね。

― それはいいですね。マネージャーミーティングを始めたきっかけは?

別の部署で同じようなMTGをやっていたんです。傍から見ていてもマネージャー同士の連携が強くなって、部署の雰囲気がよくなったのを感じていました。それならうちもやらない手はない、人数も多いしマネージャーは福岡にもいて普段同じ場所にいない、だからこそ話す機会を意識的に作ったほうが良い、ということでminneチームでもやることになりました。

自分の「熱量」を維持し続けること

― チーム作り以外で気をつけていることはありますか?

プロダクトマネージャーがその分野を好きでも本気で取り組めないと、どんなに良いビジネスモデルのサービスであっても成功しないと思っています。なので、チームの中で一番熱量が高いように自分を維持し続けることが大事です。

― ちなみに過去に「熱量が足りなかったな」というプロダクトはありましたか?

僕は幸いやりたいことをやらせてもらえているので、そういうプロダクトはほとんどなかったと思います。自分から手を上げたり、適任だからとアサインされたり、やりたいと思えるプロダクトを任せてもらえて、運が良いんだと思います。

ただ、以前2つのプロダクトのマネジメントを同時に担当していたときに、割ける時間と熱量がどうしても半分ずつになってしまい、フルコミットしている開発メンバーの熱量を超えられなくなって、チームと良い関係を築けないという時期がありました。

― やりたいと思えるプロダクトを担当し続けられているのはとても幸せなことですね。

そうですね。僕は会社が好き過ぎて長期の休みが苦手なんですよ(笑)。
子供も大分大きくなって手が掛からないので、3連休以上になると会社行きたくなってしまう。なので週末に「一人振り返り」をやっています。一週間を振り返って、Keep、Problem、Tryを洗い出しながら、次の一週間でやらなきゃいけないことをリストアップして、GitHubのプライベートリポジトリにイシューとして登録しておきます。

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― すごいですね。どれくらい続けてるんですか?

minneに異動してからもうずっとやっています。頼まれていたことを忘れてた、みたいなことがすごく嫌なので、そういうミスを極力なくそうと思って一人振り返りをやっています。チームのメンバーからすれば、途中から突然来た人間なので、そうした基本的なことができていないと信頼を得られないだろうな、と。

― それはやはり熱量がないとできないことですね。

そうですね。実はminneで買い物をするのが大好きなんです。普段シャツにつけられるようなブローチとか、色々とminneで買い物をしています。自分で作品を作ってminneに出品したこともあります。プラバンを加工してレジンという樹脂で固めたアクセサリーを作ったんですが、別の部署のスタッフが「それ、かわいいですね」と言って買ってくれました。自分が作ったものが売れた時の喜びや、買ってもらえるものを考える大変さなどを実感できました。

実際に自分でやってみると、作品を出品することの大変さに気づくんです。買うのも出品するのも実際に体験してみるだけで、自分の意見に説得力が出ます。こういうところがすごく大変なんだよ、と推測ではなく実体験を元にした意見として、サービスの課題をメンバーに伝えることができます。

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山本さんがminneで購入したハンドメイド作品

― このシリーズでは毎回聞いてるんですが、PMを目指す人におすすめの本があれば教えて下さい。

「スクラム」を定期的に読み返しています。僕はPMとしてチームでのプロダクト開発をすごく重要視しているのですが、スクラムで言うところのプロダクトオーナーとして自分がどう立ち回るべきか、といったことを意識しながらこの本を読んでいます。  

スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術 (早川書房)

スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術 (早川書房)

 

  この本ではマルチタスクの無駄が辛辣に批判されているのですが、普段マルチタスクになりがちな自分を戒めるためにも繰り返し読んでいます。 

― 最後に読者に伝えたい事はありますか?

ペパボではプロダクトマネージャーやプロダクト開発のディレクションができる人を随時募集してます。minneはCtoCハンドメイドマーケットという注目を集めている分野のサービスですので、興味がある方はぜひご連絡ください。

また、エンジニアの方向けの制度になるのですが、ペパボにはペパランチョンという制度があり、一緒にお昼ごはんを食べながらカジュアルに会社の話ができます。もちろん無料ですので、遊びにいく感覚で来てもらえると嬉しいです。

― こういう人に来てほしい、という人物像はありますか?

エンジニア経験や技術力などのスキル要件以上に、自分の考えに共感してくれる人や、チームで良いプロダクトを作るんだっていう熱量を持っている人がいいですね。「なんでも吸収するぞ」という気持ちのあるフットワーク軽い人が合っているんじゃないかなと思います。

うちの会社はスタッフ同士の仲が良く、飲みに行ったり休日にみんなで集まってどっか行ったりすることもよくあるんです。そうした、仕事の垣根を超えた人付き合いが好きな人はペパボのカルチャーに合うと思います。

― ありがとうございました。