小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

noteマガジン「職業としてのプロダクトマネージャー」を始めました。

noteのマガジンを作りました。

note.mu

組織内でプロダクトマネージャーとして活躍するために知っておくべきことを、私なりに整理してお伝えしたいと思っています。

私の個人的なテーマは再現性です。

どんな環境でもどんな分野のプロダクトでも、一定水準のプロダクトを誰でも企画できるようになる。そのための方法論を作りたいと思っています。もちろん、手順やフレームワークを知っていれば誰でも良いプロダクトを作れる、というわけではなく、最後にものを言うのは情熱やセンスだったりするでしょう。とはいえ知っていれば避けられる無用な失敗もありますし、ゴールにより短時間で到達できます。

このマガジンでどこまでその狙いを実現できるかわかりませんが、一度自分の知見を棚卸してみようと思います。

職業としてのプロダクトマネージャー|Mizuki Tanno|note

ミケランジェロと運慶にプロダクトマネージャーの理想像を見る

I saw the angel in the marble and carved until I set him free.

(私は大理石の中に天使を見た。そして天使を自由にするために彫ったのだ。)

 これはミケランジェロが遺したと言われる名言だ。

夏目漱石の「夢十夜」にもこんな話がある。仁王像を掘る運慶の姿に感心した「自分」に、隣の男がこう語る。

「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋うまっているのを、鑿のみと槌つちの力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」

新しいプロダクトの立ち上げをしていると、暗闇の中でゴールを目指して走っているような感覚に襲われる。目的や戦略に対して、とるべき戦術の選択肢は無数にある。全てが未確定な中でプロダクトのあるべき姿、様々な要素のベストな組み合わせを見極めなければならない。

無限の組み合わせの中からあるべきプロダクトの姿を見つけ出す。結果的には誰の目から見ても自明で、それ以外の選択肢などありえないように見える。そんなプロダクトづくりができるプロダクトマネージャーになりたいものだ。

Less is more / アルコールとカフェインと糖質のない生活

アルコールとカフェインを断って3ヶ月が過ぎた。そしてランニングを習慣にするようになって2ヶ月、本格的な糖質制限を始めて2週間がたった。

現在のところ体調はとても良い。1年前は84kgあった体重は現在76kg。緩やかに減量し続けている。こんな生活を始めた理由を説明することが多くなったので、経緯をまとめてみる。

飲酒がパフォーマンスに影響する

去年の夏頃から飲み会の翌日は体調がイマイチすぐれず、時によってはその週はずっとパフォーマンスが低い、なんてこともあった。

もともとお酒は好きな方だった。止めるまでは平日に濃い目のハイボールを一杯、休日になるとワインのボトルを1本空けるぐらいは飲んでいた。ただ、どうやら体質が変化したようだ。であれば一度徹底的にアルコールを断ってみるか、ということで禁酒してみることにした。

そうすると1週間ほどで心なしか普段の体調が良くなった気がする。これはいいということで継続することにした。もしかしたら生活習慣を変えて身体のメンテをしなければいけない時期かもしれないと思い、禁酒以外にも色々試してみることにした。つまり自分自身のパフォーマンスを最大化するために、自分の体を積極的にハックしてみようと思ったのだ。

セロトニンで睡眠の質を改善する

実はここ数年、寝つきの悪さと眠りの浅さに軽く悩まされていた。月に1度ぐらいだが、朝まで寝つけずに悶々とする、みたないこともあった。

そこで睡眠の質を改善を試みることにした。カフェインの摂取が快眠を阻害するようなので、まずカフェインも断つことにした。これはコーヒー好きの僕にとっては、禁酒よりつらかった。

人間の体は疲労を感じると睡眠を促すアデノシンという物質を放出する。カフェインはアデノシン受容体をブロックすることで眠気を妨げる。

また、調べてみるとスムーズな入眠にはメラトニンというホルモンの分泌が必要らしい。メラトニンの分泌を促すには、セロトニンが必要でセロトニンの分泌にはトリプトファンが必要らしい。ということでサプリメントトリプトファンを摂取することにした。

帰宅する前に会社でトリプトファンを飲むと、確かに家に着く頃にはあくびが出てきて寝つきが良くなった。ただどうも翌日の朝にだるさを感じる。サプリを購入したサイトで他のユーザーのレビューを見てみると、同じような症状の人が何人か。どうも体質に合わないらしい。サプリでセロトニンの分泌を促す、というアプローチは失敗だ。

そして色々とセロトニンについて調べているうちに出会ったのがこの本。 

 有酸素運動をすることでセロトニンが分泌される、とのこと。セロトニンは幸福ホルモンとも呼ばれており満足感や精神の安定性にも大きな影響があるという。なるほどということで、この本で推奨されているスロージョギングを始めてみた。

実はこれまで何度かランニングを習慣にしようとしたことがあったが、その度に熱中症になるなど体調を崩して挫折していた。ダイエットを目的に急激にハイペースで走っていたため、体がついてこなかったのだ。

今回は無理のないスローペースで一定時間走って、有酸素運動をすることでセロトニンの生成を促すことが目的。余裕をもって会話できるぐらいのペースで走る。これが思いの外気持ちがいい。酒を飲めないストレス、酒で晴らしていたストレスが、走ることによって解消される。

この2ヶ月で走ることがすっかり習慣化して、平日時間があるときは4km、休日は10kmぐらいは走るようになった。Runkeeperのモニタ表示をApple Watchで確認できる。これまで通知と予定の確認ぐらいでしか使っていなかったApple Watchが、ランニングのサポートツールとして活躍し始めた。

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ここまでで睡眠の質は随分改善された。布団に入るとすぐに眠たくなって朝までぐっすり寝てしまう。ここから芋づる式に運動と健康に関する本を読みあさるようになる。

人は走るようにデザインされている

スロージョグの本の中で紹介されていたBORN TO RUNを読み、さらにランニングへのモチベーションが上がる。人間は走るようにデザインされている、というのがこの本の主張だ。狩猟採取時代の人類は走って獲物を追いかけていた。持久力を武器に足の速い動物をスタミナ切れにさせて倒れたところを捕らえる、という狩りのスタイルだった。 

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

 

 BORN TO RUNに影響されて五本指シューズのVibram Fivefingersも買ってみた。踵にクッションがない靴のほうが、人間本来の走り方に近くなるという。スロージョギングの本で推奨されていたフォアフット・ランと相性が良くとても気に入っている。

「GO WILD」も刺激的な内容だった。狩猟採取時代の人類にとって、獲物を追いかけて走りまわった後が最も学習能力が必要なタイミングになる。狩りがうまくいった理由、あるいはうまくいかなかった理由を考え、次の狩りに活かさなければならないからだ。そのため走った後は脳を活性化や脳細胞の成長を促すセロトニンや脳由来神経栄養因子(BDNF)が分泌されるようになった。運動後に学習効率が高くなるように進化した、ということらしい。 

GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

 

現代人は糖質を摂り過ぎている

糖質制限の必要性も狩猟採取時代の人類に由来する。おおよそこんな理屈だ。

  • 狩猟採取時代は肉や木の実が主な食料で、炭水化物の摂取量が少なかった。
  • 人間のハードウェアは狩猟採取時代から進化していない
  • 人類の体は大量の炭水化物を消費するようにデザインされていない。
  • 現代のように大量に穀物(糖質)を摂取するようになったのは人類史からみるとごく最近のできごと
  • 糖質の過剰摂取が糖尿病をはじめとして様々な成人病の原因になっている。
  • 糖質を分解してできるブドウ糖が脳のエネルギー源と言われていたが、脂質から生成されるケトン体もエネルギー源にできる。
  • 故に米や麦などの炭水化物(糖質)を摂取を控えて、質の良い脂質を十分に摂取すれば脳は活動できる

もともと夕食には炭水化物をとらないライトな糖質制限をしていたが、こうした知識を得たことでもう少し踏み込んで糖質制限することにした。朝昼晩の3食を通じて、米・麦・芋類をとらない(ただ、コーンや根菜類などは無理に排除しない)。

ケトン体の生成を促すココナッツオイルやMCTオイル(中鎖脂肪酸)を豆乳に混ぜて毎朝飲むようにした。 

日清 MCTオイル 450g

日清 MCTオイル 450g

 

 MCTオイルについては下記の本で知った。グルテントランス脂肪酸の問題についても詳しく書かれている。 

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

 

 スーパー糖質制限をするようになって2週間が経つが体調は良好だ。食事のあとに眠気が襲ってこないのも良い。糖質を摂取すると血糖値が上がる。血糖値を下げるためにインスリンが放出され過剰に血糖値が下がる。この作用で食後に眠気を感じるのだ。

ケトン体の検査シートで調べてみると、一応ケトン体は出ているようだ。 

ケトスティックス 50枚入り Ketostix 50 Strips 並行輸入品
 

糖質制限についてはゆうきゆう先生のマンガが面白くてわかりやすい。

yubt.net

人は腸内細菌と共生している

 次に興味を持ったのが腸内細菌だ。人間を含め動物の腸内には100兆を超える細菌が共生しており、食物の消化を助けている。腸内細菌が人間の体の働きに影響を及ぼす物質を放出している。人間は腸内細菌の助けなしに生きることは困難である、ということだ。

腸内細菌の活性化のために、夜にヨーグルトと少量の冷えた白米を食べるようにした。白米は炭水化物だが、冷えた白米は「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」に変質して食物繊維と同じ働きをする。

腸内細菌のなかにはセロトニンなどのホルモンを生成するものもあり、腸内細菌の活性化状況が人の精神状態を左右する。また、人間の細胞の数は60兆個であり、実は腸内細菌のほうが数が多い。そう聞くと生命体としてどちらが主客かわからなくなる。 

 Less is more

アルコール、カフェイン、糖質を制限すると、外で飲食するのが本当に難しくなる。水かノンカフェインかつカロリーゼロ表記のある飲料にしなければならない。普通の飲食店には糖質抜きのランチメニューには存在しない(糖質制限メニューを作ってくれている妻に感謝)。見渡せば我々の周りにはアルコールとカフェインと糖質で溢れかえっている。社会システムが糖質を摂取するように作られているようにも見えて来る。

何かを摂取することでなく制限すること、身一つで走ることがベーシックな健康や充足感に繋がるという事実は、個人的には大きな価値観の転換だ。こうした生活が万人にとって正しいわけではなく、たまたま僕の状況にマッチしていたのだろうと思っているが、しばらく続けてみるつもりだ。

資料公開:プロダクト開発におけるプロダクトマネージャーの役割とは #devsumi‬

デブサミ2016でプロダクトマネジメントについて講演させていただきました。

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大きめの会場が満席とのことで、プロダクトマネジメントに対する関心の高まりを感じました。内容は既出50%、新ネタ50%といった感じですが、資料を公開しますのでよろしければご覧ください。

プレゼン中でご紹介した参考図書はこちら。 

インサイト

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「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング

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フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革をチームで進める最強ツール

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プロダクトマネージャーのコミュニティについてはこちらをご覧ください。

Twitterでの来場者の方の反応をみると、ある程度は参考になるお話しができたようで安心しました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

E-mailについてプロダクトマネージャーが知っておくべきこと

コミュニケーションの手段としてE-mailは過去のものになりつつある。

Slackは相変わらず人気だし、プライベートだけでなく仕事上のコミュニケーションもFacebookメッセージやLINEで済ませてしまう、という人も多い。メールの失敗談も良く聞く。 とはいえネットサービスにとってE-mailによる通知は、まだまだ重要なログイントリガーだ。

E-mailの特徴や活用方法について参考になる記事があったので、超訳でご紹介。 medium.com

  1. 開発リソースが不要
    配信対象のユーザーを変えて反応の違いを見る、といった方法で簡単に仮説検証ができる。

  2. 直ちに効果測定できる
    メール配信サービスの多くはトラッキングシステムを備えており、配信結果をビジュアル化してくれる。

  3. サンプルユーザーで施策のテストができる
    サンプルユーザーで配信テストをした後に本番配信、といったテストが簡単にできる。

  4. ユーザーに特定の行動を促すことができる

  5. ユーザー層に応じて最適な配信時間を探す
    ビジネスパーソンなら朝の8:00〜9:00、高校生なら学校から帰ってきた夜7:00以降、など。

  6. メール本文はユーザー情報を反映したものにする
    こんにちは<%first_name%>さん、などテンプレート上のタグをユーザー情報に置換できる仕組みを用いる

  7. ユーザー行動をトリガーにしたメールを配信する
    ショッピングカートに商品を入れた後に離脱したユーザーを対象にしたリマインドメールは、通常のメール配信時より152%開封率が高かった、という例がある。

  8. メールの件名や見出しが、通知メールの最初のUXになる

  9. テキストメールの方がシステムメールっぽさが薄い
    HTMLではなくテキストメールのほうが、人間とやりとりするような印象を与えやすい。(ベータテストを依頼するようなメールではテキストのほうがベターのことも)

  10. メール施策の成功基準を持つ
    MailChimpが業界ごとの開封率やクリック率の統計を公開している

  11. メールの種類別に購読解除できるようにする
    多くのユーザーはメールを全て止めたい訳ではなく、特定の種類のメールが不要だと思っているだけだ。

参照:What Every Product Manager Should Know About Email | by Catherine Shyu | All Things Product Management | Medium

2015年、今年買って良かったものトップ5

2015年ももう終わりなので、今年購入して愛用中のアイテムをリストアップしてみる。

1位. Apple Watch

評価が分かれるようだけど僕は愛用している。とはいえ用途は時間の確認、次の予定の確認、新着メッセージの確認ぐらい。GoogleカレンダーなどiPhoneの標準カレンダーと同期できるカレンダーサービスを使っていない人にとっては、それほど便利ではないかもしれない。Watch OSでアプリが充実することを期待していたけど、特に印象に残るアプリが出ていないと感じる。

スマートウォッチはPebbleからの乗り換え。Pebbleも悪くなかったけど、iPhoneをアンロックするとWatchの方もアンロックされる、などiPhoneとの連携はさすがにApple Watchの方がスムーズ。 でもPebble Time Steelはちょっと気になっている。 

 サードパーティ製のバンドもラインナップが増えてきている。でもアルミのスペースブラックだとマッチするデザインのバンドが少ない。ステンレスシルバーにすればよかったとちょっと後悔。

僕が買ったバンドはこちら。黒いレザーにステッチが入ったデザイン。スペースグレーのケースに違和感なくフィットしていて、とても気に入っている。 

2位. Apple TV

旧バージョンからの買い替え。リモコンがBluetoothになったのがなにより便利。操作性も快適。

スマホと比べてアプリを家族で楽しみやすい。Wii Uよりも起動する機会が増えた。ただApple Watch同様、思ったほどアプリが増えないのが残念。これからに期待。

先日、Huluのアプリがようやく公開された。ブラウジングしやすくなったためか、Huluの視聴頻度があがったかも。Apple TVの影響だけではないけど、個人的にはHDDレコーダーを全く使わなくなってしまった。

3位. iPad mini 4

以前、初代iPad miniを購入したが活用できず、結局義母にあげてしまった。(かなり活用しているようで、これはこれで良かった。)

前回はWiFiモデルだったが、今回はセルラーモデルにした。iPhoneSIMフリーモデルをIIJ mioの格安SIMで使っているが、SIMを追加発行して複数デバイス共用できるので、追加の通信費はゼロ。

読んでおきたい仕事関係の資料をPDF化して、iCloud Driveに保存しておく。Retinaディスプレイだからminiのサイズでも読みやすい。セルラーモデルにしたので、通勤中でもストックしておいた資料をいつでも読める。よく使うアプリはSlideshare、Medium、Kindle、Pocket。とにかく移動中の情報収集がとても快適になった。  

 4. 薄い財布

本当に薄い。これまでは財布をカバンに入れていたが、ズボンのポケットに入れていても邪魔にならない。パスケース兼用になって持ち物が一つ減った。デザインも気に入っている。 

5位. 大人の鉛筆

筆圧が高くて通常のシャープペンシルは芯がすぐ折れてしまう。鉛筆は削りカスが多くて机が汚れるのが嫌だ。そんな自分にぴったりの文具があった。

鉛筆と同じ太さの替え芯で、使用感は完全に鉛筆。コンパクトな専用の削り器で、芯だけ削ることができる。芯はHBがおすすめ。 

北星鉛筆 大人の鉛筆 替え芯2mm HB 5本入 OTP-150HB

北星鉛筆 大人の鉛筆 替え芯2mm HB 5本入 OTP-150HB

 

 

おしまい。

プロダクトマネージャーに求められる知識・スキル・コンピテンシーとは

プロダクトマネージャーのスキル標準を作れないかと思い、まずは項目を整理してみた。これからPMを目指そうという方や、PMとしてスキルアップしたいと考えている方の参考になれば嬉しい。(なお、インターネットサービスのPMを想定している)

それぞれの知識やスキルをどう獲得するのかについては、別のエントリーで解説したいと思う。

プロダクト開発をディレクションするスタッフに求められる要件が、クックパッドさんのブログでまとめられている。上記に挙げた項目と共通する部分や、さらに細かくブレークダウンされている部分があり、とても参考になる。

techlife.cookpad.com

この投稿は Product Manager Advent Calendar 2015 の 15日目の記事です。

プロダクトマネージャーを募集中です。