小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

プロダクトマネージャー オフ会#3 フォトレポート

昨日はpmjp第3回目のオフ会@サイボウズでした。

これまでは交流メインの会でしたが、今回は初めてプレゼンx2、LTx4というコンテンツありの会となりました。プレゼン資料は別途公開されると思いますので、写真で会場の雰囲気をご紹介。

入り口。新オフィスでも存在感のあるボウズマン。

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社内のカフェが会場です。オシャレ。

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最初のプレゼンはサイボウズの山田さんと齋藤さん。サイボウズの事業成長の歴史とあわせてPM制度が導入された背景のお話。PMとしていかに共感を得るか、という課題感の共有も。

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二番手はfreee坂本さん。プロダクトラインナップが増えるなかで、限定された人数のPMでどうスケールさせるか。PMの仕事からプロジェクトマネジメントを外し、Whyを明らかにすることにフォーカス。

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LTトップはSmarby矢本さん。バックグラウンドがエンジニアでないPMが何を強みにし、不足する知識をどう補ってきたか。PMに最も必要なのは偏執。

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GMOペパボ高橋さん。自社のプロダクト開発のケーススタディ。カスタマージャーニーマップ、プラグマティックペルソナ、KPIツリー。実際にやってみて初めてわかることがある。

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オプト平岩さんの相談LT(新ジャンル)。大きな組織のなかでPM的な考え方を広め、PMを育成していくにはどうすればいいのか。

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Increments東峰さん。及川さんに託されたPM心得3条。「引く、聞く、割る」ちゃんと伝わりました。

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熱心にプレゼンを聞く参加者の皆さん。

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プレゼンの後の交流会。盛り上がってます。

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会場をご提供いただいたサイボウズさん、ありがとうございました。

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次回は2ヶ月後ぐらいに開催されそうです。ご興味のある方はpmjpのslackコミュニティにご参加ください。

追記:発表資料

speakerdeck.com

あなたの会社のプロダクトマネージャーのインタビューを掲載しませんか?

あなたの会社のプロダクトマネージャーに直接インタビューして記事化。このブログに掲載いたします。

どんな記事内容に?

下記のような内容をお聞きして対話形式の記事にします。 

  • プロダクトマネージャーになるまでのキャリア
  • どのような考え方でプロダクト開発に従事しているか
  • 自社のプロダクトの強みや魅力
  • プロダクト開発に関わる自社の制度や方法論

どんな会社向け?

プロダクト開発に関心の高い方に読まれているブログです。

・プロダクト開発に強い会社としてのブランディングを強化したい
・プロダクトマネージャーの採用を強化したい
・自社の製品をアピールしたい

そうお考えの企業さんはぜひご連絡ください。

インタビューの際に、進行中のプロジェクトやPM育成上の課題について、オフレコでディスカッションさせていただくことも可能です。

詳細については、me at mizukitanno.com宛にメール、またはFacebookページのメッセージでご連絡ください。

記事掲載についてのFAQ

・2000〜4000字程度のボリュームを想定しています。

掲載前に原稿をご確認いただけます。

製品サイトや採用サイトへのリンクを記事中に配置することも可能です。

【追記】現在想定上のお申し込みを頂いており、お待ち頂いている状況です。 

プロダクトマネージャー不要論

「私がプロダクトマネージャーを絶対に雇わない理由」という刺激的なタイトルの記事をMediumで見つけた。HubSpotの元CPOで、Driftというマーケティング支援サービスのCEO、David Cancel氏の記事だ。コメント欄も盛り上がっている。

プロダクトマネジメントを専門とする自分としてはなかなか認めがたい主張ではある(笑

medium.com

ざっくり要約するとこんな感じだ。

  • スタートアップの世界は変化が早く、過去の経験が役に立たない
  • 各社でPMの仕事の範囲が違う。ある会社ではプロジェクトマネージャーのことだったり、ある会社ではプロダクトマーケターのことだったりする。
  • プロダクトで差別化するなら他社の経験はむしろ忘れてもらう必要がある
  • プロダクトに情熱を持っていて学習能力の高い未経験者を雇うべし。
  • プロダクトジャンキーで、好奇心が強く、プロダクト改善のアイデアを持っていて、顧客中心のマインドセットを持った人を採用した方がいい。

創業者がProduct-drivenな人で、実質的に創業者がプロダクトマネージャーを兼任しているようなスタートアップであれば、この主張は正しいかもしれない。またプロダクトへの情熱や顧客中心のマインドセットといった採用要件はその通りだろう。

ただ、組織規模や事業規模が一定以上大きくなって、創業者自らがプロダクト開発を指揮できないフェーズになると、やはり経験を持ったプロダクトマネージャーを採用する必要がでてくる。

うまくいったグロースハック施策を他社でそのまま展開できると考えるようなPMは確かに必要ない。しかし、顧客の真の課題を理解し、実現可能なソリューションを考案し、実装過程で明らかになる矛盾を解消する、といったPMのスキルはスタートアップであれ大企業であれ共通して必要なものだと考える。

などと思いつつ、経験や方法論に縛られず「狂ったアイデアの実践」ができるPMにならなければならないと自戒した次第。

デザイン思考によるイノベーションのわかりやすい例

徹底的なユーザー観察、素早いプロトタイピング、というデザイナー特有の問題解決手法を製品開発プロセスの川上に適用しよう、というのがデザイン思考だ。

デザイン思考を生んだIDEOのCEO、ティム・ブラウン氏は次のように語っている。

デザインは以前より、開発プロセスの川下に位置づけられていた。つまりデザイナーは、イノベーションの実作業である初期段階では何もすることがなく、固まったアイデアに化粧を施す。そのように考えられてきたのである。
(中略)
デザイナーの役割はこれまで、開発されたアイデアを消費者にとって魅力的にすることだった。しかし現在、デザイナーには、消費者のニーズやウォンツによりマッチしたアイデアを生み出すことが期待されている。
従来のデザイナーの役割は戦術的であり、デザインによって生み出される価値は限定的だった。しかし現在、デザイナーに求められているのは戦略的な役割であり、これにより画期的な新しい価値が生まれてこよう。
- Harvard Business Review 2008年12月号 「優位」の教訓より 

 デザイン思考とは、プロセスの川下で本質的な問題解決に繋がらないプロダクトの「お化粧」をやらされてきたデザイナーたちの反逆であるとも言える。

デザイン思考によるイノベーションの具体例は、IDEO創業者たちによるデザイン思考の本でも紹介されているのだが、個人的には今ひとつピンとこなかったりする。
(余談だがHBR2016年4月号でZibaの濱口さんが、IDEOのデザイン思考でイノベーションが生まれることはまれで、デザイン思考ブームはマーケティングの産物である、と語っていて面白い)  

 デザイン思考によるイノベーションのわかりやすい例がないかと思っていたところ、こんな記事があったので引用して紹介する。

「例えばごく簡単な例として、風呂場のカビ取り洗剤のデザインを考えてみましょう。ボトルそのもののデザインももちろん重要ですが、実際の利用シーンをよく観察すると、中身の薬剤が無色透明では後で洗い流す時に散布した場所が分からなくなってしまうということに気づく。そうすれば、薬剤に色を付ける、泡状にするといった新しいアイデアが浮かんできます。このように、デザイン思考を製品開発に取り入れることで、使い心地の良さという新しい価値を提供できるわけです」
- 「デザイン思考」は企業やビジネスをどう変える? - 日経ビジネスオンラインSpecial

これがイノベーションなのかと言われると異論があるかもしれないが、確かに「無色の洗剤だと洗い流したかわからない」という問題は、実際の利用シーンを観察することで初めて発見できそうだ。おそらくユーザーがペインポイントを自覚しておらず、ヒアリングや定量的な市場調査では問題を発見するのは難しそうに思える。

実例かどうか定かでないが、デザイン思考の有効性をイメージするための具体例としてはとてもわかりやすい。

Product Managers Night vol.1にモデレーターとして参加しました

先日、リクルートジョブズさん主催のProduct Managers Night vol.1に、パネルディスカッションのモデレーターとして参加させていただきました。 recruitjobs.connpass.com

50名の参加枠に150名以上の申し込みがあり、プロダクトマネジメントに対する関心の高さをひしひしと感じました。

登壇者はVASILY柿本さん、NewsPicks甲斐さん、Retty藪さん、クックパッド田中さん、エウレカ榊原さん、リクルートジョブズ渡邊さんの6名。いずれも今をときめくネットサービス企業のプロダクトマネージャー、プロダクトオーナーの方ばかり。皆さんまだ20代なのにとても優秀なPMで、モデレーターとして安心感をもって進行できました。ありがとうございました。

公式のイベントレポート記事が公開される予定とのことなので、僕の方からはパネルディスカッションで出たトピックをざっとご紹介。

  • ユーザー理解

    • 自分自身がターゲットユーザーでないプロダクトにおいて、どのようにユーザーを理解すべきか。自分と世代や性別が異なるユーザーのインサイトを掴むにはどうすればいいのか。
  • 社内のステークホルダーとのコミュニケーション

    • 営業部門とプロダクト部門の考え方の違い、メンタルモデルの違いをどうの埋めるのか。短期計画と長期計画をどうバランスしながらプロダクト開発を進めるべきか。
  • チームマネジメント

    • 事業の成長にともなって拡大する組織、チームをどうマネジメントしていくべきか。
  • PMの役割の拡大

    • 事業フェーズの変化にともなってPMに求められる知識や役割が拡大していく中で、どのようにキャッチアップしていくべきか。
  • 仮説設定と効果検証

    • 筋の良い仮説を立案し、施策の結果をタイムリーに可視化し効果検証するにはどうすべきか。

おおよそこんなトピックについて各社の課題感や解決方法を共有していただきました。 印象的だったのが、自らSQLを書いてデータ分析をする、という方が多かったこと。仮説検証サイクルを素早く回す上では、データ分析スキルは必須なのかもしれません。

パネルディスカッションのお題の案を事前にもらっていたのですが、イベント中で取り上げられなかったので、僕個人の回答を記載しておきます。

  • PMとして日常的にどんな情報を集めているか

    • プロダクトマネジメントの方法論に関する情報、グロースハックに関する情報を収集している。具体的にはMediumでProduct Managementなどのタグをフォローして新着記事をチェックしている。このブログでも過去にMediumの記事をピックアップして紹介している。特定のテーマについて知見を得たいときはQuoraで検索する。例えばPRD(Product Requirement Document)について一般的なフォーマットを知りたい、という時はQuoraで検索するとQ&Aが多数ヒットする。
  • PMやリーダーとして仕事をする際、一番説得しづらい人やチームは誰/どこか、それはなぜか、またどうやって上手く進めているか

    • 受託開発の経験が長いと「決められた仕様通りに作りたい」と考えがち。事業会社では「ユーザーにとって価値あるものを作りたい」と考える人の方が活躍しやすい。どちらが正しいということでなく、状況に応じて適したメンタルモデルは変わる。時間が解決することもあるし、ユーザーに生の声に触れる機会を増やすことで変わることもある。
    • この例以外にもメンタルモデルの違いが生むコミュニケーションコストが存在する。これを意識的に解消するのもPMの役割ではある。
    • ものづくり側の人は、ユーザーに喜ばれる製品を作らないとビジネスとして成立しない、と考えている。逆にビジネス側の人は、ビジネスモデルが優れていないと良い製品を作っても無駄だと考える。どちらも正しい。同じゴールを目指しているが出発点が違う。両者の間を取りもつのがPMの役目。
  • 今注目しているアプリやサービスとその理由 ex)流行りそう、機能が面白い、ビジネスモデルが面白いなど

    • これは逆に教えてほしい。年齢とともにユーザーとしての感度や新しいものを求める欲求が低下するのが悩み。。。
  • 実際PMっていう役割ある?社内での共通理解ってできてるの?それぞれの会社でどんなことやってるの?

    • 自社ではここ1年ほどでPMという役割が定着した感がある。PMはプロダクトで課題解決する人。ユーザー課題や事業課題を発見すること、課題の原因を特定すること、ソリューションを考案すること、実現に向けてチームをリードすること、が主な役割。
  • PMの理想的なあり方ってなんなの?

    • 良い仕事ができたとチームメンバーに感じてもらえるようなPMが個人的には理想。メンバーの共感を得ながらチームの自発性を引き出し、顧客に愛されるプロダクトを作ること。PMは責任はあるがチームに対して権限はない職務。make senseすること。思いつきでチームを振り回さないこと。
  • チームメンバーとの役割分掌などをどうしていくのか or どうしていく必要があるのか

    • メンバーのスキルレベル次第で変わる。ベテランメンバーであればコンセプトや課題感を伝えればプロダクト開発は進むが、経験の浅いメンバーであればソリューションのゴールイメージをかなり具体化しつつ、アウトプットをレビューする必要がある。
  • 今までで一番大きな失敗談(糧になった)と、それをどう乗り越えてどう成長できたのか

    • 新規プロダクト開発のプロジェクトが中止になった。ステークホルダーの納得感を十分得ていなかった。特に営業サイドの責任者に売れるという実感を持ってもらうことができなかった。チームマネジメントにも失敗して、開発期間がずるずると伸びていた。気持ちの面で完全に立ち直るまでに1年ぐらいかかったが、その後のプロジェクトでその時の経験を活かすことができた。
    • また、開発チームとの関係が険悪になったことがある。開発スケジュールが決まってから仕様を追加しようとしたり、背景や意図を伝えずに要件だけを伝えたり、開発スケジュールを無理に短縮させようとしたり、要は自分の思うままにコントロールしようとした。成果はチームで生むものだという意識で仕事をするようになった。

以上です。Vol.2も開催予定とのことなので楽しみです。pmjpでもオフ会などのイベントを企画していますのでぜひご参加ください。

Product Managers Japan (PMJP)

noteマガジン「職業としてのプロダクトマネージャー」を始めました。

noteのマガジンを作りました。

note.mu

組織内でプロダクトマネージャーとして活躍するために知っておくべきことを、私なりに整理してお伝えしたいと思っています。

私の個人的なテーマは再現性です。

どんな環境でもどんな分野のプロダクトでも、一定水準のプロダクトを誰でも企画できるようになる。そのための方法論を作りたいと思っています。もちろん、手順やフレームワークを知っていれば誰でも良いプロダクトを作れる、というわけではなく、最後にものを言うのは情熱やセンスだったりするでしょう。とはいえ知っていれば避けられる無用な失敗もありますし、ゴールにより短時間で到達できます。

このマガジンでどこまでその狙いを実現できるかわかりませんが、一度自分の知見を棚卸してみようと思います。

職業としてのプロダクトマネージャー|Mizuki Tanno|note

ミケランジェロと運慶にプロダクトマネージャーの理想像を見る

I saw the angel in the marble and carved until I set him free.

(私は大理石の中に天使を見た。そして天使を自由にするために彫ったのだ。)

 これはミケランジェロが遺したと言われる名言だ。

夏目漱石の「夢十夜」にもこんな話がある。仁王像を掘る運慶の姿に感心した「自分」に、隣の男がこう語る。

「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋うまっているのを、鑿のみと槌つちの力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」

新しいプロダクトの立ち上げをしていると、暗闇の中でゴールを目指して走っているような感覚に襲われる。目的や戦略に対して、とるべき戦術の選択肢は無数にある。全てが未確定な中でプロダクトのあるべき姿、様々な要素のベストな組み合わせを見極めなければならない。

無限の組み合わせの中からあるべきプロダクトの姿を見つけ出す。結果的には誰の目から見ても自明で、それ以外の選択肢などありえないように見える。そんなプロダクトづくりができるプロダクトマネージャーになりたいものだ。