ネットサービス/スマートフォンアプリの消費者行動モデル
仕事や生活に関するちょっとした課題を、無料で使えるネットサービスやスマートフォンアプリで解決するということは、多くの人にとってもはや珍しい習慣ではないと思う。
ではそうしたネットサービスやアプリとどうやって出会っているのかというと、能動的に検索して発見するケースって比率としてはすごく少ないんじゃないんだろうか。
自分のiPhoneのホーム画面を眺めてみると、ソーシャルメディア上で友達がシェアした情報がきっかけで使い始めた、っていうアプリが圧倒的に多い。
Facebook上で友達がアプリをお勧めしてるのを見る→とりあえずインストールしてみる→Facebookアカウントでログイン、みたいな流れがすごく多い。
だから、無料で使えるネットサービスやアプリに関して言うと、これまでの消費者行動モデルがどうもピンとこないんですよね。
A(Attention:注意)
I(Interest:興味)
D(Desire:欲求)
M(Memory:記憶)
A(Action:行動)
旧来のAIDMAに変わる行動モデルとして、AISASとかSIPSというものが提唱されていて、これはとても納得感があるんだけど、無料アプリを即インストールして試す感覚からすると、ちょっと大げさな感じがしちゃう。
■AISAS
A(Attention:注意)
I(Interest:興味)
S(Search:検索)
A(Action:行動)
S(Share:共有)
■SIPS
S(Sympathize:共感する)
I(Identify:確認する)
P(Participate:参加する)
S(Share & Spread:共有・拡散する)
▼SIPS 〜来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念〜
ICSASっていうモデルを提唱している人がいて面白いなと思ったんだけど、やっぱり無料アプリを使い始めるプロセスとはちょっとマッチしない気がする。
■ICSAS
I(Interest:興味・関心)
C(Contact:接触)
S(Shared:共有情報を聞く)
A(Action:行動・購入)
S(Share:共有)
▼AISASに代わる消費者行動理論はICSAS - Web情報のまとめ
なにせ無料なので、比較検討するよりまず使っちゃった方が早いわけです。
自分の感覚をモデル化してみると、こんな感じです。
S(Sympathize:Facebookに流れてきたアプリ情報に興味を持つ)
T(Try:インストールしてFacebookアカウントでログインする)
S(Share:Facebookでシェアする)
P(Purchase:有料プランを購入する)
ゴロも何もあったもんじゃないですが。。。
Search(検索)に相当する行動がないんですね。
これはなぜかというと、消費者が課題を自覚して検索キーワードとして言語化される前に、どんどん新しいサービスやアプリが出てきて人からお勧めされちゃうからじゃないだろうか。
ググる隙がない。もやもやと「ああ不便だな」「なんとか解決できないかな」と意識にのぼってくるよりももっと早く、ソーシャルメディアを通じて友達から解を提案されちゃう。さらには「あの人が勧めてるんだから良いものだろう」と、特に類似サービスと比較検討することもない。無料だから比較検討に時間的コストをかけるよりまず試してみる。ちょっと違うな、と思ったら二度とログインしない。たまに送られてくるメルマガはフィルタ設定でゴミ箱に直行する。
友達からシェアされて、ダウンロードして、Facebookアカウントでログインしてちょっと触ってみる、という感じで使ってみるまでの一連の流れがすごく早い。Zero Momentよりももっと早い。
そしてお金を払うのは無料版を十分に使った後だったりするから、PurchaseはShareよりも後にくる。
こういう受動的な情報収集になれてしまうと検索もしないし、情報サイトやニュースサイトに自分から見に行って情報収集しようなんて習慣がなくなってしまう。ネット媒体に広告出しても届きにくい。
プロジェクトやサークル活動などで使える無料グループウェア「サイボウズLive」をどうプロモーションしていこうかなー、と考えつつ前提となる消費者行動モデルについて考えてみました。