プロダクトマネジメントに関する5つの誤解
Extreme Swiss Army knife by Sneed
本職のプロダクトマネージャーではない人たちによく見られる、プロダクトマネジメントについての誤った認識がまとめられている。
ざっくり意訳してご紹介。
誤解1. プロダクトマネジメントは「自明なこと」をまとめるだけだ
プロダクトマネージャーは普通の人が自明だと考えていることを疑うのが仕事だ。普通のドライバーはコーナーで減速するだろうが、モータースポーツではコーナーで加速するように教わる。より少ないことはより豊かなこと、制約は有益、スピードアップするために減速する、というわけだ。
誤解2. プロダクトマネジメントとは追加機能を考えることだ
実は単純な機能追加で問題が解決することは非常にまれだ。これをスーツ族に理解してもらうのは、本当に本当に難しい。
プロダクトが使われないのは機能が足りないからではない。顧客ターゲットの設定を間違えたか、もしくは、プロダクトの作り方を間違えたのだ。
「Microsoft Officeのユーザー調査をしたところ、回答者の90%以上が欲しいと答えた機能は、既にOfficeに実装済みの機能だった」という有名な話がある。
最近は単一の問題解決にフォーカスしたプロダクトの重要性が認識され始めている。Facebookがメッセンジャーを切り出したり、Foursqureがチェックイン機能をSwarmに分離したが、これは十得ナイフ的万能プロダクトを目指す弊害に気づいたからだ。
誤解3. プロダクトマネジメントは簡単だ
「何行かコードを追加するだけでしょう?」「この機能を追加すれば絶対売れると思う」といったセリフほどプロダクトマネージャーを萎えさせるものはない。自分でやる必要のない人にとっては、どんなことだって「簡単なこと」だ。
スティーブ・ジョブズは1984年にこう言っている。
「問題に取り組み始めた当初は、物事はシンプルに見える。なぜなら問題をよく理解していないからだ。次第に状況の理解が進むと、とても込み入った問題だとわかる。ほとんどの人はこの時点で問題解決をあきらめてしまう。だけど、一部の人たちは夜通し考えてエレガントなソリューションを見つけ出す。でもそこまでやるのは、ごく限られた人たちだけだね。」
誤解4. プロダクトマネジメントとは「ビッグアイデア」を考えることだ
「勝負の9割はアイデアで決まる。あとは従順な働き蜂たちがなんとかしてくれる」
こういう「ビッグアイデア思考」の持ち主は、プロダクトマネージャーにとっていつも悩みの種だ。アウトプットは会議室の中のブレストで書いたポンチ絵だけなのに、アイデアがほぼ実現したと思ってしまう。
こういう人はデジタルネイティブな企業ではなく、あとからデジタル化した企業でよく見られる。
誤解5. プロダクトマネジメントで全て解決する
経営陣の意見はバラバラ。エンジニアもマーケターも営業もそれぞれ別の主張をしている。全員が自分の主張は最優先だと思っている。要件リストは山積みで終わりがなく、チームは身動きが取れなくなっている。
こんな時はプロダクトマネージャーが魔法の杖を一振りすれば問題が全て解決する、なんてことはない。本質的な機能不全を起こしているのであれば、そう簡単に秩序のある状態に戻すことはできない。