小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

【Product Manager 1on1】参加者募集のお知らせ

現役プロダクトマネージャーとして活躍中の皆さんのお悩み相談会(1on1)を、2018年の11月末までに100回実施いたします。

時間:1h〜1.5h
場所:弊社会議室(渋谷駅徒歩5分)
時間帯:日中あるいは20:00ぐらいまで
ゴール:ご自身の悩みや課題についてお話を伺い、その過程で解決方法やNext Actionに気づいていただく
申込方法:TwitterのDMにてご連絡ください 下記のイベントページからお申込みください。

【2018/03/10追記】4月分の空き枠が残りわずかです。5月枠の追加をTwitterでお知らせしますので、ご興味のある方はフォローをお願いします。

一応書いておきますが、無料でお受けします。2017年12月2日現在、4名の方にお申込みいただき、2名の方と実際に1on1させていただきました。ご不明点があれば同じくTwitterのDMかMentionで聞いてください。

お聞きしたことは口外しません。話せる範囲、話したい範囲でお話しいただければ結構です。ただし、具体的なアドバイスは期待しないでください。もちろん私の知っている範囲で参考になりそうなことがあればお伝えしますが、対話を通じてご自身で問題を整理していただくことがこの1on1のゴールとなります。

【2017/12/03 追記】沢山の方からご連絡をいただいており、1on1実施まで1ヶ月くらいお待ちいただく可能性があります。申し訳ありません。ご連絡いただいた順に日程調整させていただきます。

なぜやるのか

なぜこの1on1をやるのか。理由は沢山あるのですが、いくつかピックアップしてご説明します。

約12年間プロダクトマネージャーとして「プロダクトを作る」ということに向き合ってきました。これからもプロダクトを作ることに向き合い続けたいと思いますが、最近様々なことをきっかけに、
・「プロダクトを作る人」を作る
・「プロダクトを作る組織」を作る
・「プロダクトを作る地域」を作る
といったことに貢献したい、という思いが強くなってきました。この1on1では「プロダクトを作る人」を支援できればと考えております。

実際、プロダクトマネージャーとして孤軍奮闘している人も多いと思います。
・相談したいけど相談相手がいない。
・社内でプロダクトマネージャーが自分だけしかいない。
・実質プロダクトマネージャーをやっているのだが、PM制度が明確に導入されていないので社内で動きづらい
などなど。そうした方のサポートができると幸いです。

また、これまで色々なプロダクトマネージャーの方の考え方をお聞きするために「PMインタビュー」を実施し、記事化してきたのですが、記事作成に時間がかかりどんなに頑張っても1年間に5人くらいしかお会いできない、というジレンマがありました。記事化することでプロダクトマネジメントに関する知見を日本の中で共有したい、という思いがあったのですが、記事化については一旦お休みし、とにかく沢山のPMの方とお話しすることに集中してみることにしました。

もう一つ。最近「コーアクティブ・コーチング」というコーチングのメソッドを習いました。自分のコーチング力を鍛える実践の場とさせていただきたい、という私自身の都合もあります。

いろいろ書きましたが、要は「面白そうだからやってみたい」の一言に尽きます。

私について(簡単な自己紹介)

ってお前誰やねんと思われる方も多い(というか殆ど)だと思いますので、簡単に自己紹介をしておきます。

早稲田大学理工学部卒業後、NTTに入社
・茨城の研究所に配属され、主にロボティクスの研究に従事
・NTTを約3年で退職し、数年間自分探しの旅にでる
・バーチャレクス・コンサルティングに入社し、コールセンター運営に関するシステム開発に従事
サイボウズでプロダクトマネージャーとして8年間勤務
・2014年6月よりビズリーチ勤務
・2016年より実行委員としてプロダクトマネージャーカンファレンスを開催

自分がスーパーすごいPMであるという認識は全くないのですが、それなりの年数に渡ってプロダクトマネジメントに従事してきたので、話し相手としては少しはお役に立てるのではないかと思います。

プライベートなことも少々。4人家族でと息子がいます。あとバイクと車が好きです。最近はオンライン英会話にはまっています。

その他やってみたいこと

1on1させていただいた人向けのミートアップをいつかやりたいと思っています。
また1on1に参加いただいた方同士の交流の場として、Facebookグループを用意する予定です。(10人くらいになってから?🤔)
こうした取り組みと合わせて、「プロダクトを作る地域」を作る、といったところまで実現できたらなーと思っております。

以上です。ぜひお気軽にご連絡ください。

関連エントリー

Frictionless Customer Experience の3原則

1. 顧客が欲しいと言う前に与えよ
2. プロダクトがユーザーの置かれている状況に合わせよ
3. ユーザーに画面やボタンをタッチさせるな

Face IDもApple Payも要はこれ。無くても困らないけど一度慣れると戻れない。意図と結果の間の手間をどれだけ減らせるか、いかに時間やお金を消耗させないか。

ガジェット以外の例だと、車のパワーシートが鍵のオーナーに合わせて自動的に記憶されたポジションに動くのもFCX。

Social Issue × Product × Scalability

我々は3つの特徴を持つ企業である。

第一に、我々はSocial Issue(社会課題)に取り組む企業である。
社会課題とは、それを解決することで世の中の構造的問題によって負を被る人が減少したり、世の中が良い方向に前進するような課題のことである。
社会課題のうち、現在我々が主に取り組んでいるのはHRと呼ばれる領域だ。21世紀の企業にとって最大の資本、競争力の源泉は「人」である。「設備」や「資金」も重要だが、何より重要なのは「人」である。人の創発的な活動の連なりが、新しい価値を生み出す。
社会に価値を生み出そうとする会社が、その戦略を実現するために必要不可欠な人材を見つけ、組織の一員として迎え入れられるようにする。このプロセスを支援するサービスを我々は提供している。これを逆側、つまり「働く人」の視点で見れば、その人が持つ強みや経験を活かし、「こういうことを成し遂げたい」という意思を実現できる場所を発見し、実際にその場所で働くことができ、そして仕事を通じたさらなる成長機会を得られる、ということである。
現状ではこのプロセスが最適化されているとはいえない状態だ。これはつまり企業組織が本来生み出すことが可能な価値が最大化されていない、ということであり、人が本来もつ能力を発揮し自己実現する機会が最大化されていない、ということである。

第二に、我々は社会課題をProductによって解決する企業である。
Productを作るにはEngineeringとDesignとProduct Managementが必要である。我々は社会課題を解決するために自らのCraftmanshipを最大限に発揮したいと考える開発者集団であり、それぞれの専門性を高めるために日々研鑽を続ける集団である。
営利企業として持続的に価値提供を続けるために、我々は自分たちが定めたビジネスゴールを達成する必要がある。また同時にビジネスゴールの達成にはユーザーゴールの達成が不可欠であるということを当然の事として理解している。ビジネスゴールとユーザーゴールという、時には相反する要求を両立させるにはCreativityが必要である。我々は、人が本来持つCreativityに敬意を持ち、社会にインパクトを与えるプロダクトを世に送り出したい、ユーザーに感動を与えるプロダクトを作りたい、と考える人達の集団である。

第三に、我々はScalabilityを重視する企業である。
Scalabilityを日本語に訳すと「大規模に実現可能である」といったところだろうか。負を感じている人が10人しかいない課題を社会課題と呼べるだろうか。100人ならどうか。1000人ならどうか。それが社会課題かそうでないかを単純に「負を感じている人の数」で定義することはできないが、我々はより多くの人の課題、より大きな社会課題を解決できる集団でありたいと思っている。そのためには我々のプロダクト、我々のアイデアを広く世に知ってもらう必要がある。知ってもらうためにはMarketingとSalesの力が必要である。また、新しいアイデアをすぐに受容できる人は少ない。よって、これまでとちがった慣習や業務プロセスを受け入れられるよう支援するSupportが必要である。
洗練されたMarketingとSalesとSupportを実現するには、ScienceとEmotionとHospitalityが必要である。こうした要素が相まってScalabilityは実現される。

以上をまとめれば、我々は「Social Issue × Product × Scalability」の会社である、ということになる。これが我々の特徴をあらわすキーワードであり、こうありたいと願う姿である。この「ありたい姿」に対して、我々はまだ未熟だ。さらに研鑽を積まねばならないし、我々の取り組みに共感し「ありたい姿」に近づくために共に努力してくれる仲間を、もっともっと増したいと思っている。

これからの日本を生きるための新常識(書評:モチベーション革命)

この本はとても「当たり前」のことが書いてある。当たり前なんだが、まだ気がついている人が少ない考え方が書かれている。気づいている人が読めば「やっぱりそうだよね」と自己肯定できるし、気づいていない人が読めば新しい世界が広がるだろう。(若者向けのサービスを提供しているPMには「さとり世代」のメンタルモデルを理解するヒントにもなると思う)

この本には、強みを活かすポジティブ心理学、Whyから始める、原体験を大事にする、社会的意義、インサイトの重要性、評価経済の時代、など普段僕自身が考えていることがほぼ網羅され、言語化されている。

ちょっと前にFacebookでよくシェアされていたIkigaiベン図?の話も出てくる。

Ikigai(生きがい)とは、
・That which you love
・That which the world needs
・That which you can be paid for
・That which you are good at
の4つの輪が重なるところだ、という図だ。

よくキャリアを考える上で「Will/Can/Mustを整理せよ」と言われるが、僕にはこの4つのサークルで考えるほうがしっくりくる。キャリアを「考えさせられる時」の「Will」というのがちょっとクセモノなのだ。Willというのは要するに「やりたいこと」なわけだが、「(本当にやりたいことから逆算するとこれを今はやらなければならないから)やりたいこと」という長い枕詞が隠されている。その隠された部分に本当に納得していればいいのだが、百戦錬磨の上司に言いくるめられてなんとなく「そうなのかも」と思わせられてしまったり、自分をごまかしてしまったりしている時があるw

だが「That which you love」にはそういう隠された部分はない。また、「Must」という言葉には義務感を感じるが、「That which the world needs」には使命感は感じても義務感は感じないだろう。

でも社会人のなりたての若い人にさあこのベン図でIkigaiを整理してみよ、と言ってもなかなか難しいと思う。自分が20代の頃を振り返ってもそう思う。
何故かと言うと若い人には選択肢が多いから。まだ何者にでもなれる選択肢と未開花の可能性があるから。それはすごく素晴らしいことなんだけどつらいことでもある。
僕ぐらいの年齢になると幸か不幸か選択肢が少なくなる。自分は何が好きで、何が得意かもだいたいわかってくる。だから迷わないで済むし、楽になっていく。年をとることの良い側面だ。

で、この本の著者の尾原さんも書いているんだけど、自分のIkigaiがわからない場合は、とにかく目の前のことにがむしゃらに取り組んでみると良いと思う。(ただし健康には気をつけて)小さな目標を立ててそれを実現するためにまずは頑張ってみるのが良いと思う。

なんだかおっさんの説教じみた書評になってしまったけど良い本なので是非読んでみて欲しい。Kindle Unlimitedで読めます。

モナコインで体験するトークン・エコノミー #MONA @mizuki_tanno

先日のPMカンファレンスでは、Omiseの宇野さんにトークン・エコノミーについて講演していただいた。

講演冒頭の「ビットコインを持っているという人は手を上げてください」という会場への投げかけに対して、手を上げた参加者は400席中10名ぐらいだっただろうか。カンファレンスに参加するようなIT業界の人の間でも、まだ暗号通貨やブロックチェーン知名度は低いようだ。

数日前にITmediaモナコインの記事が話題になっていた。

モナコインは日本初の暗号通貨で、Litecoinをベースに有志によって開発されている。ITmedia記事でも解説されているが、秋葉原のショップで実際にモナコインで買い物できたり、モナコインでお米やコーヒーを買えるサイトがあったりする。

ここ数日は、Monapartyの公開によってコミュニティはお祭りムードになっている。Bitcoinが割りとシリアスな派閥争いを続けているのに対して、モナコインのコミュニティには古き良き2ちゃんねるの悪ノリ文化の雰囲気が漂う。

モナコインについては、ヨーロピアンさんのこちらの記事がわかりやすい。

ピアボーナスについて

ところで最近、仕事がらみで「ピアボーナス(Peer-to-Peer Bonus System)」というものについて少し調べた。

ピアボーナスについては下記のGoogle+の投稿を見ると一発でわかると思う。

 

下記は以前にForbesに掲載されたピアボーナス制度に関する記事だ。Google等で過去に導入実績があるようだ。

(元記事:The Peer-To-Peer Bonus System

面白いなと思うのは、感謝の言葉だけでなく、定量的に測定できる経済的な価値を送り合うことが、人間の認知や行動を良い方向に導くことにつながる、ということだ。

経済的なインセンティブによって人の行動や習慣を変化させるという手法は、実は特に珍しいものではない。ソーシャルゲームのログインボーナスもその一つだろう。Tポイントもそうだろうし、リアルワールドのようなインターネットサービス向けのポイントシステムも昔から存在する。

このような報酬によって行動の変化を促したり、特定の行動を強化する手法は「トークンエコノミー法」と呼ばれ、心理療法の技法としても以前から利用されている。

暗号通貨によって実現するトークンエコノミー

で、ここでまた暗号通貨の話しに戻るわけだが、暗号通貨を使うことでインターネット越しの相手に「経済的価値を送る」ことが容易になる。つまり組織の中であろうと外であろうと、人や作品に対して「投げ銭」をすることができる。

インターネットによって情報の交換は簡単にできるようになったが、価値を交換することは難しかった。できないわけでないが、面倒な手順を踏む必要がある。(ネットバンキングサービスの操作手順を思い出して欲しい)

ところが暗号通貨やブロックチェーンを使うことで、情報と同じぐらいの手軽さで「価値」のやりとりが可能になる。しかもサービスや組織、国の境界線を超えて、である。これをプロダクトを設計するプロダクトマネージャーの視点で見ると、「これまでよりフリクション(摩擦)の少ない形で、『トークンエコノミー法』をサービスに組み込むことができ、エコシステムの拡張ができる」ということになる。これは大きな変化だ。

モナコインでや「トークン・エコノミー」を体験してみる

言葉で説明するより体験してもらうほうが早いと思うので、ちょっと以前からやってみたかった実験をしてみよう。

この記事をツイートしていただいた方の中から、先着で50名に0.114MONA(現在の相場で約40円)をtipmona経由でお送りする。(〆切は11/27 23:00)エゴサーチで該当ツイートを検出す予定です。

tipmonaを使うとTwitter越しに簡単にMONAを相手に送れる。あなたは特に事前に何かのサービスにアカウントを開設をするといった準備をする必要はない。TwitterのアカウントさえあればOKだ。
では、皆さんのツイートをお待ちしてます!

【追記】tipmonaのわかりやすい説明画像を教えていただきました。

プロダクトマネージャーカンファレンス2017、無事終了しました。 #pmconfjp

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プロダクトマネージャーカンファレンス2017の2日間の日程を無事終える事ができました。多くの方にご参加いただき、来場者、登壇者、スポンサー、スタッフ、全ての関係者の皆さんに感謝です。 (開催予告の後、開催告知をすることなく終了のご報告になってしまいました)

申し込みページ公開後、数日で定員300名に達してしまい、150名以上のキャンセル待ち状態に。急遽増席して400席にしたため、テーブルの無い席が多くなってしまいました。来場された皆さまの中には少し窮屈な思いをされた方もいるかもしれません。申し訳ありません。

当日のセッションについては、ヒロミツさんがグラフィックレコーディングで綺麗にまとめていただいたので是非ご覧ください。セッションを聞きながらリアルタイムで書いたとは思えないクオリティの高さです。 

当日のツイートまとめはこちら。

いくつかのセッションについてはCAREER HACKさんに取材していただきました。記事が公開され次第こちらに追記していく予定です。

東京大学本郷テックガレージの馬田さんがセッションの補足として記事を公開されています。

f:id:tannomizuki:20171114191600j:plainネットワーキングセッションの様子

さて今回もメルカリ、LINE、楽天サイバーエージェントなど日本を代表するネット企業で活躍する現役プロダクトマネージャーの方にご登壇いただき、各社の方法論や具体的なケースについてご紹介いただきました。また、Salesforce.com、Googleからは本社で活躍するプロダクトマネージャーの方をお招きして、グローバル企業で行われているプロダクトマネジメントについてお話しいただきました。

そして、お気づきになった方もいるかもしれませんが今回はPM以外の方にも数多く登壇いただきました。ユーザーリサーチ、UXデザイン、チームビルディング、AIやブロックチェーンなどの新しいテクノロジー、などプロダクトマネージャーとして仕事を進めていく上でしっておくべき領域の専門家にご講演いただきました。ベンチャーキャピタル、経営者などの視点からみたPM論に関するセッションも設けました。

f:id:tannomizuki:20171115170001j:plainAsk The Speakerの様子

2日目最後の1時間はリフレクションの時間とし、2日間のセッションでの学びをシェアし、ネクストアクションを宣言する、というワークショップを行いました。
僕自身のネクストアクションとしては、「全国のPMの皆さんと、1on1を100回実施する」という目標を設定して宣言させてもらいました。約12年間プロダクトマネジメントに関わってきた経験を元に、プロダクトマネジメントに取り組み皆さんの「壁打ち相手」になります。僕のほうから解決策を提案するような場としてではなく、他者に説明する中で問題解決の糸口を自ら発見する機会としてご活用いただければと思っています。ぜひTwitterのDMでご連絡ください。

f:id:tannomizuki:20171115180632j:plainリフレクションの様子

こう振り返ると色々と新しいチャレンジができたカンファレンスだったと改めて感じます。まだ参加者アンケートの集計をまだできていませんが、第二回も前回と同様かそれ以上に満足いただけたのではないかと思っております。具体的なことはまだ何も決まっていませんが、来年も同じくらいの時期に第3回目を開催したいと考えています。ご興味のある方は、是非カンファレンスの オフィシャルコミュニティPMJPのSlackにご参加ください。

 

娘のサマーウォーズ2017を振り返る

子どもたちの夏休みが終わった。

今年の夏休みは小学生の娘にとって特別な夏になったように思う。娘はこの夏、ある「施設」に入り浸っていた。所謂子どものためのMakers Labのようなところで、3Dプリンタやレーザーカッターなどの最新設備を自由に使うことができ、電子工作でもロボット工作でも、布細工づくりでも、ムービー制作でも、とにかく作りたいと思ったものをなんでも作れる場所だ。設備だけではなく機器の使い方を教えてくれるクルーが何人もいて、子どもたちの「こうしたい!」という自由な発想の実現をサポートしてくれる。企業とコラボしたワークショップも多数開催されている。

娘は文字通り毎日この施設に入り浸った。自分でお弁当を作って朝9時に入館し、施設がクローズする18時まで家に帰ってこなかった。

もともと工作が好きで学校で一番好きな科目は図工、図工がある日は早起きするというぐらいものづくりが好きな娘にとって、この施設はまさに「夢のような場所」だった。(ちなみに夢のような場所というのは娘の表現そのままだ)
モーターとLEDを使って水力発電をする装置、などなんだか色々なものを毎日作っていた。

この夏に開催された施設主催のロボコンやデザインワークショップでは、それぞれ特別賞をもらうことができた。(毎度優秀賞は逃すのだが、発想が独特なので特別賞の対象になりやすい)
自分の発想で何かを作り、それを多くの人の前で発表し、さらに賞賛してもらう。これはたぶん娘にとって人生初めての経験だったと思う。
こうした経験を通して、娘は明らかに変わった。これまでと目の輝きが全く違う。好奇心に従って思いのままに行動すると子どもはこうも変わるのか、と我が子ながら驚いた。

娘は少し変わったところがある。興味がある事はに対しては非常に高い集中力と想像力を発揮するのだが、そうでないものはとことん手を抜く。というか側から見ると適当にやってるようにしかみえない。習字を習っているので丁寧に書けば綺麗な字が書けるのだが、興味のない課題だとミミズのような字で誤字脱字も多い。こうしたことが原因で学校の宿題をチェックした時などに度々親子で衝突することがあった。要は「もっとちゃんとやりなさい」という親が求めるクオリティに対してなかなかそこに到達しない。何を求められるのかピンときていないので「ちゃんと」と言われてもよくわからないのだろう。こんな娘を根気よく指導してくれている学校の先生には本当に頭が下がる思いだ。

そんな娘が個性伸ばせる場所を探して色々と模索してきた。絵画教室に通って見たものの、その時間はそれなりに楽しんでいるようだったがやや「お遊戯的」で、親としても娘としてもあまり意義を見いだせなくてやめてしまった。娘用のパソコンを買い、Scratchなどの初等プログラミングツールの使い方も教えてみた。そういえば一時期はマインクラフトにはまっていた。

うちの子はこういう方向なのかなと思っていたところで、娘が学校の友達から聞きつけてきたのがこの施設だった。今年の3月からオープンしていたらしいのだが夏休み直前まで存在を知らなかった。早速申し込んで参加して見ると娘は大興奮していて、まさにこの施設こそ娘が求めていた場所だと判明した。ちなみにこの場所を教えてくれた友達も個性的で独特の発想をする子のようだ。娘はこの子といつも連んで何か作ってるらしい。

この施設を運営するS社長の講演を聞いたがお兄さんの強烈さとはまた異なる独特の存在感、包容力を感じさせる方で、日本の子どもたちの未来を本当に真剣に考えてくれているようだった。

劇的に変化していく娘を見たことで、子どもの教育だけでなく、自分のキャリア観やマネジメントに対する考え方が変化しつつあるように感じる。
言葉にすると当たり前だが、人は個性を活かし夢中になれる環境でもっとも成長するのだ。そうした環境に自らを置くことができるのか、一緒に働くメンバーにそうした環境を用意できるのか。そんな事を頻繁に考えるようになった。

この施設のビジネスモデルの詳細はわからないのだが、どうやら子ども向けのSTEAM教材のR&D部門という位置付けのようで、施設で活動する子どもたちの反応を見ながら教材開発をしているらしい。事業としても実験的な取り組みであるように見えるし、ビジネス的に継続可能なモデルなのかよくわからないのだが、とにかくこの施設の存在に親として非常に感謝している。仮にこの施設が彼らの事業上の狙いを達成してクローズしたり移転することがあっても、娘はこの夏の経験を原体験にして、何年かかかっても自力でこうした場所を探し出したどり着くだろう。そのための主体的な努力ができるんじゃないかと思っている。

長々と書いたがこのエントリーで何を伝えたいかというと、とにかく施設のクルーの皆さんとこの場所を作ってくれたS社長に感謝したい。本当にありがとうございます。皆さんは未来を作る仕事をしています。 

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