小さなごちそう

プロダクトマネジメントや日々の徒然について

プロダクトマネージャーなんていらない?

プロダクト開発において「プロダクトマネジメント」は必須だ。ユーザー課題を解決できる、技術的/社会的に実現可能、経済的継続性がある(要は儲かる)、そんなプロダクトを定義して実現し、世に送り出すこと。ざっくり言うとこれがプロダクトマネジメントである。

一方で、「プロダクトマネージャー」という役割が必須かというと、それは状況に依る。明確にプロダクトマネージャーという肩書を持つ人間がいなくても、正しくプロダクトマネジメントが行われる開発プロジェクトだってある。

  1. 各メンバーのスキルの合計が、プロダクトマネジメントが正しく行われる上で必要なスキルセットを網羅している
  2. メンバーが自分の職能の領分以外のタスクを実行することを厭わない
  3. 職能が異なるメンバーが自律的にコラボレーションしている、もしくはコラボレーションを促進するリーダー役がいる

こんなチームだったらプロダクトマネージャーは不要か、かなり限定的な役割になるだろう。あるいは「今回は私がプロダクトマネージャーね」と持ち回り制になるかもしれない。僕が今所属している会社はそういう方向に組織が成熟していくんじゃないか、という気がなんとなくしている。現プロダクトマネージャーの人たちは、事業責任者だったりプロダクトマネジメントを開発チームに定着させるコーチのような役割に仕事が変わっていくのかもしれない。これは悪いことではない。というよりとても良いことだと思っている。

ラクラシーという組織形態がある。上意下達式の意思決定が行われる階層型組織ではなく、意思決定が組織全体に分散されたフラットな組織形態のことだ。

ラクラシー組織で意思決定が分散されるように、プロダクトマネジメントがプロダクト開発組織に分散していくケースが増えるのでは、と思っている。プロダクト開発組織の成熟度が増すに従って、プロダクトマネージャーの役割が縮小していく。

ラクラシー組織は「課長」みたいな中間管理職っていらないよな、という組織だ。ホラクラシー組織の構成員には一定レベルの主体性やスキルが要求されると思われるし、ホラクラシーに移行できる組織ばかりではないだろう。だから当分の間「課長」は必要だ。同様にプロダクトマネジメントをチームで実行する組織がある一方で、そうでない組織もある。メンバーの仕事の範囲が職能の境界を越えないような組織だ(エンジニアはコードを書きたいし、デザイナーはデザインしたい、という組織)。そういうチームではプロダクトマネージャーが必要になる。

で、ここからが本論なんだが、プロダクトマネージャーの仕事は、「なりゆきだとプロダクトマネジメントが行われない組織」において、「プロダクトマネジメントが行われるようにすること」だ。そのためにはどんなスキルが必要か、ということを書こうと思ったんだが長くなったのでまた次回に。