小さなごちそう

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プロダクトマネジメントや日々の徒然について

モナコインで体験するトークン・エコノミー #MONA @mizuki_tanno

先日のPMカンファレンスでは、Omiseの宇野さんにトークン・エコノミーについて講演していただいた。

講演冒頭の「ビットコインを持っているという人は手を上げてください」という会場への投げかけに対して、手を上げた参加者は400席中10名ぐらいだっただろうか。カンファレンスに参加するようなIT業界の人の間でも、まだ暗号通貨やブロックチェーン知名度は低いようだ。

数日前にITmediaモナコインの記事が話題になっていた。

モナコインは日本初の暗号通貨で、Litecoinをベースに有志によって開発されている。ITmedia記事でも解説されているが、秋葉原のショップで実際にモナコインで買い物できたり、モナコインでお米やコーヒーを買えるサイトがあったりする。

ここ数日は、Monapartyの公開によってコミュニティはお祭りムードになっている。Bitcoinが割りとシリアスな派閥争いを続けているのに対して、モナコインのコミュニティには古き良き2ちゃんねるの悪ノリ文化の雰囲気が漂う。

モナコインについては、ヨーロピアンさんのこちらの記事がわかりやすい。

ピアボーナスについて

ところで最近、仕事がらみで「ピアボーナス(Peer-to-Peer Bonus System)」というものについて少し調べた。

ピアボーナスについては下記のGoogle+の投稿を見ると一発でわかると思う。

 

下記は以前にForbesに掲載されたピアボーナス制度に関する記事だ。Google等で過去に導入実績があるようだ。

(元記事:The Peer-To-Peer Bonus System

面白いなと思うのは、感謝の言葉だけでなく、定量的に測定できる経済的な価値を送り合うことが、人間の認知や行動を良い方向に導くことにつながる、ということだ。

経済的なインセンティブによって人の行動や習慣を変化させるという手法は、実は特に珍しいものではない。ソーシャルゲームのログインボーナスもその一つだろう。Tポイントもそうだろうし、リアルワールドのようなインターネットサービス向けのポイントシステムも昔から存在する。

このような報酬によって行動の変化を促したり、特定の行動を強化する手法は「トークンエコノミー法」と呼ばれ、心理療法の技法としても以前から利用されている。

暗号通貨によって実現するトークンエコノミー

で、ここでまた暗号通貨の話しに戻るわけだが、暗号通貨を使うことでインターネット越しの相手に「経済的価値を送る」ことが容易になる。つまり組織の中であろうと外であろうと、人や作品に対して「投げ銭」をすることができる。

インターネットによって情報の交換は簡単にできるようになったが、価値を交換することは難しかった。できないわけでないが、面倒な手順を踏む必要がある。(ネットバンキングサービスの操作手順を思い出して欲しい)

ところが暗号通貨やブロックチェーンを使うことで、情報と同じぐらいの手軽さで「価値」のやりとりが可能になる。しかもサービスや組織、国の境界線を超えて、である。これをプロダクトを設計するプロダクトマネージャーの視点で見ると、「これまでよりフリクション(摩擦)の少ない形で、『トークンエコノミー法』をサービスに組み込むことができ、エコシステムの拡張ができる」ということになる。これは大きな変化だ。

モナコインでや「トークン・エコノミー」を体験してみる

言葉で説明するより体験してもらうほうが早いと思うので、ちょっと以前からやってみたかった実験をしてみよう。

この記事をツイートしていただいた方の中から、先着で50名に0.114MONA(現在の相場で約40円)をtipmona経由でお送りする。(〆切は11/27 23:00)エゴサーチで該当ツイートを検出す予定です。

tipmonaを使うとTwitter越しに簡単にMONAを相手に送れる。あなたは特に事前に何かのサービスにアカウントを開設をするといった準備をする必要はない。TwitterのアカウントさえあればOKだ。
では、皆さんのツイートをお待ちしてます!

プロダクトマネージャーカンファレンス2017、無事終了しました。 #pmconfjp

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プロダクトマネージャーカンファレンス2017の2日間の日程を無事終える事ができました。多くの方にご参加いただき、来場者、登壇者、スポンサー、スタッフ、全ての関係者の皆さんに感謝です。 (開催予告の後、開催告知をすることなく終了のご報告になってしまいました)

申し込みページ公開後、数日で定員300名に達してしまい、150名以上のキャンセル待ち状態に。急遽増席して400席にしたため、テーブルの無い席が多くなってしまいました。来場された皆さまの中には少し窮屈な思いをされた方もいるかもしれません。申し訳ありません。

当日のセッションについては、ヒロミツさんがグラフィックレコーディングで綺麗にまとめていただいたので是非ご覧ください。セッションを聞きながらリアルタイムで書いたとは思えないクオリティの高さです。 

当日のツイートまとめはこちら。

いくつかのセッションについてはCAREER HACKさんに取材していただきました。記事が公開され次第こちらに追記していく予定です。

東京大学本郷テックガレージの馬田さんがセッションの補足として記事を公開されています。

f:id:tannomizuki:20171114191600j:plainネットワーキングセッションの様子

さて今回もメルカリ、LINE、楽天サイバーエージェントなど日本を代表するネット企業で活躍する現役プロダクトマネージャーの方にご登壇いただき、各社の方法論や具体的なケースについてご紹介いただきました。また、Salesforce.com、Googleからは本社で活躍するプロダクトマネージャーの方をお招きして、グローバル企業で行われているプロダクトマネジメントについてお話しいただきました。

そして、お気づきになった方もいるかもしれませんが今回はPM以外の方にも数多く登壇いただきました。ユーザーリサーチ、UXデザイン、チームビルディング、AIやブロックチェーンなどの新しいテクノロジー、などプロダクトマネージャーとして仕事を進めていく上でしっておくべき領域の専門家にご講演いただきました。ベンチャーキャピタル、経営者などの視点からみたPM論に関するセッションも設けました。

f:id:tannomizuki:20171115170001j:plainAsk The Speakerの様子

2日目最後の1時間はリフレクションの時間とし、2日間のセッションでの学びをシェアし、ネクストアクションを宣言する、というワークショップを行いました。
僕自身のネクストアクションとしては、「全国のPMの皆さんと、1on1を100回実施する」という目標を設定して宣言させてもらいました。約12年間プロダクトマネジメントに関わってきた経験を元に、プロダクトマネジメントに取り組み皆さんの「壁打ち相手」になります。僕のほうから解決策を提案するような場としてではなく、他者に説明する中で問題解決の糸口を自ら発見する機会としてご活用いただければと思っています。ぜひTwitterのDMでご連絡ください。

f:id:tannomizuki:20171115180632j:plainリフレクションの様子

こう振り返ると色々と新しいチャレンジができたカンファレンスだったと改めて感じます。まだ参加者アンケートの集計をまだできていませんが、第二回も前回と同様かそれ以上に満足いただけたのではないかと思っております。具体的なことはまだ何も決まっていませんが、来年も同じくらいの時期に第3回目を開催したいと考えています。ご興味のある方は、是非カンファレンスの オフィシャルコミュニティPMJPのSlackにご参加ください。

 

娘のサマーウォーズ2017を振り返る

子どもたちの夏休みが終わった。

今年の夏休みは小学生の娘にとって特別な夏になったように思う。娘はこの夏、ある「施設」に入り浸っていた。所謂子どものためのMakers Labのようなところで、3Dプリンタやレーザーカッターなどの最新設備を自由に使うことができ、電子工作でもロボット工作でも、布細工づくりでも、ムービー制作でも、とにかく作りたいと思ったものをなんでも作れる場所だ。設備だけではなく機器の使い方を教えてくれるクルーが何人もいて、子どもたちの「こうしたい!」という自由な発想の実現をサポートしてくれる。企業とコラボしたワークショップも多数開催されている。

娘は文字通り毎日この施設に入り浸った。自分でお弁当を作って朝9時に入館し、施設がクローズする18時まで家に帰ってこなかった。

もともと工作が好きで学校で一番好きな科目は図工、図工がある日は早起きするというぐらいものづくりが好きな娘にとって、この施設はまさに「夢のような場所」だった。(ちなみに夢のような場所というのは娘の表現そのままだ)
モーターとLEDを使って水力発電をする装置、などなんだか色々なものを毎日作っていた。

この夏に開催された施設主催のロボコンやデザインワークショップでは、それぞれ特別賞をもらうことができた。(毎度優秀賞は逃すのだが、発想が独特なので特別賞の対象になりやすい)
自分の発想で何かを作り、それを多くの人の前で発表し、さらに賞賛してもらう。これはたぶん娘にとって人生初めての経験だったと思う。
こうした経験を通して、娘は明らかに変わった。これまでと目の輝きが全く違う。好奇心に従って思いのままに行動すると子どもはこうも変わるのか、と我が子ながら驚いた。

娘は少し変わったところがある。興味がある事はに対しては非常に高い集中力と想像力を発揮するのだが、そうでないものはとことん手を抜く。というか側から見ると適当にやってるようにしかみえない。習字を習っているので丁寧に書けば綺麗な字が書けるのだが、興味のない課題だとミミズのような字で誤字脱字も多い。こうしたことが原因で学校の宿題をチェックした時などに度々親子で衝突することがあった。要は「もっとちゃんとやりなさい」という親が求めるクオリティに対してなかなかそこに到達しない。何を求められるのかピンときていないので「ちゃんと」と言われてもよくわからないのだろう。こんな娘を根気よく指導してくれている学校の先生には本当に頭が下がる思いだ。

そんな娘が個性伸ばせる場所を探して色々と模索してきた。絵画教室に通って見たものの、その時間はそれなりに楽しんでいるようだったがやや「お遊戯的」で、親としても娘としてもあまり意義を見いだせなくてやめてしまった。娘用のパソコンを買い、Scratchなどの初等プログラミングツールの使い方も教えてみた。そういえば一時期はマインクラフトにはまっていた。

うちの子はこういう方向なのかなと思っていたところで、娘が学校の友達から聞きつけてきたのがこの施設だった。今年の3月からオープンしていたらしいのだが夏休み直前まで存在を知らなかった。早速申し込んで参加して見ると娘は大興奮していて、まさにこの施設こそ娘が求めていた場所だと判明した。ちなみにこの場所を教えてくれた友達も個性的で独特の発想をする子のようだ。娘はこの子といつも連んで何か作ってるらしい。

この施設を運営するS社長の講演を聞いたがお兄さんの強烈さとはまた異なる独特の存在感、包容力を感じさせる方で、日本の子どもたちの未来を本当に真剣に考えてくれているようだった。

劇的に変化していく娘を見たことで、子どもの教育だけでなく、自分のキャリア観やマネジメントに対する考え方が変化しつつあるように感じる。
言葉にすると当たり前だが、人は個性を活かし夢中になれる環境でもっとも成長するのだ。そうした環境に自らを置くことができるのか、一緒に働くメンバーにそうした環境を用意できるのか。そんな事を頻繁に考えるようになった。

この施設のビジネスモデルの詳細はわからないのだが、どうやら子ども向けのSTEAM教材のR&D部門という位置付けのようで、施設で活動する子どもたちの反応を見ながら教材開発をしているらしい。事業としても実験的な取り組みであるように見えるし、ビジネス的に継続可能なモデルなのかよくわからないのだが、とにかくこの施設の存在に親として非常に感謝している。仮にこの施設が彼らの事業上の狙いを達成してクローズしたり移転することがあっても、娘はこの夏の経験を原体験にして、何年かかかっても自力でこうした場所を探し出したどり着くだろう。そのための主体的な努力ができるんじゃないかと思っている。

長々と書いたがこのエントリーで何を伝えたいかというと、とにかく施設のクルーの皆さんとこの場所を作ってくれたS社長に感謝したい。本当にありがとうございます。皆さんは未来を作る仕事をしています。 

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『価値のインターネット』時代のプロダクトマネージャーへ

先日なにかと話題のVALUに登録してみました。 

プロダクトマネジメントの悩み聞きます(ただし話を聞くだけで悩みの解決はしません🤗 )」という無責任な優待を公開してみました。現在公私ともに忙しく、時間が作れないので売り出しはしないかもしれませんが、もしこの記事をお読みの方でVALUユーザーの方がいましたらウォッチリストに追加いただけると嬉しいです。VALUerの皆さまを対象に、PM限定サロン、PMランチ会みたいな交流の場をつくる、など無形の価値を提供できたら面白いかも、といったことも考えています。

正直なところVALUについては公開された当初は若干懐疑的に見ていたのですが、時には利用者が想定外の使い方をしてトラブルを起こしながらもユーザーが使い方を発明しながらサービスの価値を向上させていくプロセスには、mixiTwitterが現れた当初のようなユーザー主導の盛り上がりを思い出し、少しワクワクするものを感じます。

VALUの盛り上がりの背景には投機的な思惑を持った人が一定数集まっているという側面もありつつ、お金を持っている持っていないに関わらず、お金の使い道がないという人が増えているということなのではとも思いました。無料で手に入るものでおおよそ満足してしまい、あえてお金を払ってまで手に入れたいモノやサービスが身の回りに少ないということではないか、と。VALUのようなサービスを使う人は、著名人や志のある人に投資し、間接的に世の中を変える、影響を与えることで高次の社会的欲求を満たそうとしているのではないでしょうか。あるいはGoogleで検索すれば手に入る無料の情報では飽き足らず、対価を払うことでのみ得られる特別な情報、特別な経験を求めているのかもしれません。

VALUはビットコインを利用することで、「個人が株式会社のように価値をトレードできる」というコンセプトを実現しています。適法性についてはまだ色々議論の余地があるようです。小飼弾さんがリードエンジニアとしてVALUに参加したとのことで、これからさらなるサービスの発展が期待されます。

ビットコインを始めとする暗号通貨については、投機的な側面に注目が集まりがちだったり、犯罪者が使うアングラマネー的なイメージを持つ人が多かったりするので、身の回りで積極的には話題にすることは避けていました。ただ個人的には昨年から興味を持ちはじめ、技術仕様や歴史的経緯を学びつつ、ブロックチェーンや暗号通貨がもたらす社会的なインパクトについて考えています。

ガートナーが先日発表した2017年版ハイプ・サイクルでは、ブロックチェーンが過度な期待期から幻滅期に位置づけられています。

幻滅期を過ぎると、次は啓蒙活動期です。ということは、恐らくブロックチェーンを使ったアプリケーションがこれからいくつも現れるでしょう。これまで解決できなかったユーザー課題や社会課題を解決し、ビジネスが大きく変わる可能性が極めて高いと思っています。

メッセージングからペイメントへ

さて、LINEやSnapChatなどのメッセージングアプリが一世を風靡しましたが、ユーザーエンゲージメントの中心はメッセージングからペイメントにシフトしつつあります。中国ではキャッシュレス、スマホ決済が進み、屋台でもWeChat PayやAliPayを使って支払いができる、という話をよく耳にします。AliPayは日本でもサービスを開始するようです。

韓国のカカオトークのオンライン銀行業、Kakao Bankが5日間で100万口座を開設したそうです。国際送金のソリューションにRippleを採用するという噂もあります。

もちろんLINEも以前からLINE Payというペイメントサービスを提供しています。

KyashやPaymoなど、日本の法の枠組み内でVenmoのように簡易に個人送金を可能にするサービスも増えています。日本では銀行や消費者を保護し経済の安定性を維持するために、金融・証券についてはかなり厳密な法規制が行われています。個人送金サービスの壁は、AML(Anti Maoney Laundering)のためのKYC(Know Your Customer)、本人確認のプロセスが必要なことです。最近の個人送金系サービスがこのKYCの壁をどう回避しているのかについては、先日新しい発想の株式投資サービスをβ公開した株式会社FOLIO CDOの広野さんが、ブログで非常にわかりやすく解説しています。

友達に寄付(ファンディング)ができるpolcaというサービスも話題ですね。

Kyashで集金してpolcaで出金する、みたいないわゆる三店方式のような現金化のハックを考える人もいて、大人としてはちょっとドキドキしてしまいます。

CASHという「質屋アプリ」も「全力で振り切ったサービス」として話題になりました。

チケットキャンプがビットコイン払いに対応したそうです。チケットキャンプのユーザー層が果たしてビットコインを使うのか、とても興味深いです。そのうちメルカリもビットコイン払いに対応するかもしれませんね。

目先をBtoCからBtoBに変えると、マイクロソフトがAzure上でEthereumベースのブロックチェーンを容易に管理できるフレームワークを企業向けに発表しました。

カナダのブロックストリーム社がブロックチェーンを中継する人工衛星の稼働を開始したそうです。インターネットに接続できないが太陽エネルギーを得られる、赤道直下の砂漠のような場所で暗号通貨のマイニングや取引が可能になるのかもしれません。そういえばモトローラの衛生携帯サービスのイリジウムが過去に破綻したのでは、と思いましたが事業継承されてサービスが継続していました。技術革新によって衛星の開発や打ち上げコストが相当下がっているようですね。

何の話をしているのかよくわからなくなってきましたが、とにかくペイメントに関する技術やインフラ、そして法律が整備され、『インターネット越しに誰かに価値を送るサービス』がこれからも増えていくのでしょう。

Token Salesとユーザーエンゲージメント

ICO(Initial Coin Offering)という、企業が独自に暗号通貨を発行して資金調達を行う手法が話題になっています。

イデアを簡単にまとめたホワイトペーパーだけでICOするケースも多いようで、かつてのドットコム・バブルを連想してしまいますが、AmazonGoogleがインターネット・バブルを生き残って巨大企業になったように、ICOバブルから次世代の企業が生まれるのかもしれません。

ICOについては、下記のスライドが非常にわかりやすいです(この資料ではICOではなくToken Salesとあえて表現しているそうです)。Token Salesはプラットフォーマーから搾取される「小作人化したコンテンツ提供者」に適正な利益をもたらす、ということのようです。個人的には『通貨モデル』のAmazonの例がとてもわかりやすいと思いました。

Token Salesが本当にヤバいと思うのは、ポイントやバッジなどのサービス内でのみ流通していたゲーミファイ・リワードが、サービス外での経済的価値と結びつき、最強のエンゲージメント獲得システムになり得ることです。

例えばTwitterが独自Tokenを発行してユーザー間の送金を可能にしたらどうなるでしょう?実はこれはtipmonaというサービスによって既に実現されています。

tipmonaのような仕組みをTwitter自身が提供したら?もともとアットマークで他のユーザー宛にツイートするメンションの仕組みは、Twitterユーザーが発明した習慣が採用されたものなので、ありえないとも言えません。tipmonaはモナコインを送る仕組みですが、tipxrpというXRPを送るサービスもつい最近作られたようです。

例えば、Twitter広告(プロモツイート)の出稿にはトークンが必要で、ブランドのTwitterアカウントをフォローしたユーザーにリワードとしてトークンを配布可能にする、トークンは取引所で時価で売買される、そんな仕組みはどうでしょうか。広告主によるトークン需要により、Twitterトークンの価格は値上がりが期待されます。ユーザーはTwitterトークンを得るためにさらにTwitterを使うようになるかもしれません。既に大きなユーザーベースを持ったTwitterのようなサービスがこうした仕組みを採り入れたらどんなことが起こるのか、想像するだけでワクワクします。

メッセージングアプリのKikICOでやろうとしているのは、そうしたトークンによるエコシステムの構築のようです。

▼ Kin: A decentralized ecosystem of digital services for daily life.

KikのICOについては日本語版のホワイトペーパーが公開されています。(ただちょっと堅苦しい日本語なので英語の方を読んだほうが理解しやすいかもしれません)

Kikは既に2億人以上のユーザーベースをもつチャットアプリです。サービス内のkikポイントによってスタンプを購入したり、アプリ内のブランドページをフォローするとkikポイントが付与される、といったアプリ内通貨、リワードの仕組みについての実験を過去に行い、実際に多くのポイント・トランザクションを発生させることができたそうです。このkikポイントをkinというサービス外の取引所で時価取引されるトークンにする計画があるようです。

評価経済ブロックチェーン

もちろんワクワクする未来だけが待っているわけではなく、多くのテクノロジーがそうであるように、使いようによっては人々の生活にネガティブなインパクトを与える結果になる可能性もあります。

VALUはソーシャルメディアのフレンド数などをもとにその人の経済的価値を算出する、といういわゆる評価経済の仕組みです。こうした個人のインターネット上の評価や信用情報が、ポジティブ情報もネガティブ情報もあわせてブロックチェーンで管理、共有されるようになるかもしれません。

飲食店の予約を無断キャンセルした顧客の電話番号を共有するサービスが論議を呼びましたが、サービス提供者側に切実な課題があることを考えると、個人の評価を共有するブロックチェーンが作られる、というのもあながち突飛な発想ではないように思えます。

AirbnbUberなどに代表されるシェアリングエコノミーと、評価経済は地続きです。例えば車や部屋、時間をシェアするといっても信用度がわからない人にはシェアしにくいですよね。できれば信用度の高い人、評価の高い人にサービスを提供したい。そうすると、今はそれぞれのサービス内でのユーザーのレビュー(評価)が蓄積されていますが、いずれサービスを越えて個人の評価が共有されて、評判の良い人ほどより質の良いサービスをより安く受けられる、という世界になるかもしれません。

そもそも世の中というものは人と人との信頼によって成立しており、信頼による格差は既に存在するのかもしれませんが、今後はそれがより可視化され信頼のある人とない人の間で享受できる豊かさの格差がさらに拡大するかもしれません。ブロックチェーン上で管理されたグローバルなレビューシステム上で、未評価だったり評価が低い人は高いコストを払わないとサービスを受けられない、なんて時代が来るかもしれません。

『情報のインターネット』から『価値のインターネット』へ

ところで、デスクトップ用Safariの仕様変更によってクッキーによるユーザートラッキングが困難になりリターゲティング広告が表示しにくくなる、という記事が話題になりました。

ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、これはもしかしたら「無料のインターネット」時代の終わりの始まりかもしれないなと思いました。現在は広告で収益を得ることで無料でコンテンツやサービスを提供することが可能ですが、近い将来コンテンツ閲覧やサービス利用をするたびにごく少額の利用料を徴収するといったことが可能になり、広告モデルではなく超少額課金モデルがインターネットサービスの主流になるかもしれません。

なお、MITメディア・ラボ所長の伊藤穰一さんは「ビットコインは1989年くらいのインターネットなのかなと。まだ足場が固まっていないのに、いろいろ建ってしまっている。もうAmazonを作ろうとしている。」とおっしゃっているので、もしかしたらちょっと先走りすぎかもしれませんが。

Ripple社はIoV(Internet of Value)の実現をビジョンに世界中の銀行とコンソーシアムを組みソリューションの開発を進めており、「価値のインターネット時代のGoogleになるのでは」と期待する人もいるようです。

新しいインターネット時代の到来にそなえる

さて長々と書きましたが、要は『情報のインターネット』から『価値のインターネット』へのシフトが始まっており、私たちプロダクトマネージャーは時代の変化に追従できるよう基礎的な技術を勉強しておいたほうがいいのではないか、ということです。

インターネットサービスのプロダクトマネージャーである皆さんが、かつてWebサーバーやWebアプリケーションの基礎について学んだように、ブロックチェーンの基礎的な技術を学ぶべきタイミングだと思います。ビットコインブロックチェーンについては縦書きの解説書がいくつも出版されているので読みやすそうなものを選んでまず読んでみてください。例えば大石さんの本はビットコインの仕組みがわかり易く説明されています。 

インチェック大塚さんの本は群を抜いて分かりやすいのでお勧めです。

 余談ですが、開発者コミュニティを中心に完全な非中央集権の金融システムの実現を目指すBitcoinの支持者と、 営利企業を中心に国際的な送金システムの実現を目指すRippleの支持者は、本質的に相性が悪いようでTwitterなどで激しく罵り合い論争を繰り広げています。彼らの侃侃諤諤とした宗教戦争論争を観察するのも暗号通貨の楽しみの一つです。(嘘です。すみません調子に乗りました)

個人的には技術者としての観点ではBitcoinが、マーケターとしての観点ではRippleがそれぞれ実に興味深いです。つまりプロダクトマネージャーとしてはどちらも非常に面白い、ということです。

初心者向けの本で概要をつかんだら、ぜひMastering Bitcoinを読んでみて欲しいです。僕は本書でBitcoinの技術的な設計の妙に心を奪われました。 コードがある程度読める人にとっては、技術に不案内な人向けにビットコインの仕組みをアナロジーで説明した本よりも、こちらの本の方がわかりやすいはずです。

ビットコインとブロックチェーン

ビットコインとブロックチェーン

 

 日本語版は2014年に出版された原著を訳したもので、2016年に出版されています。原著はこの7月に2nd Editionが出版されました。先日のビットコイン分裂騒動の要点であるBIP-9やSegWit、Lightning Networkに関する説明が追加されています。簡易な英語で書かれているので初版の日本語版を読んだ後にぜひこちらも一読をお勧めします。 

Mastering Bitcoin: Programming the Open Blockchain

Mastering Bitcoin: Programming the Open Blockchain

 

 ビットコインが通貨としての信用を得るまでの歴史的経緯についてはデジタル・ゴールドが詳しく、読み物としても非常に面白いです。 

本書を読むと、ハイパーインフレやデフォルトなど様々な出来事が奇跡的なタイミングでいくつも起こったことで、ビットコインが国家を越えた価値の保存手段として信用を獲得していった経緯がわかります。

さて、思いのままに書き綴ったので長々とややエモい文章になってしまいましたが、ブロックチェーンや暗号通貨、Token Salesが色々と面白いので、インターネットサービスのプロダクトマネージャーの皆さんはぜひ勉強しましょう、というお話でした。こちらからは以上です。

(予告)プロダクトマネージャー・カンファレンス2017を開催します

昨年の10月に第一回目を開催したJapan Product Manager Conferenceですが、第二回目を年内に開催予定です。去年と同じ実行委員メンバーで既にキックオフし、現在企画を詳細化してます。

こちら↓の画像は昨年の登壇者の皆さま。すごいです。第一回目にも関わらず非常に豪華なスピーカー構成で開催でき、多くの参加者にご満足いただいたカンファレンスとなりました。

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昨年参加した方は、あの時あの場の熱狂と興奮がよみがえってきたのではないでしょうか。

さて、第二回目ですが下記のようなテーマでセッションを構成することを検討しています。

1. なぜ今プロダクトマネジメント
プロダクトマネジメントが必要な理由や、プロダクトマネジメントは何かといった全体像の概観。

2. ユーザー理解(インサイトの発見、データ分析)
プロダクトマネジメントの目的の一つであるユーザー課題の解決には、当然ながらユーザー理解が不可欠。定性/定量の両面でユーザーを理解するにはどうすれば良いのか。

3. 良いUXをデザインする
ユーザー理解に基いて、実際にユーザーの課題を解決し良いユーザー体験を提供するために、プロダクトマネージャーとして知っておかなければならないことは何か。

4. 熱狂的チームを作る
プロダクトマネージャーはチームで成果を出す必要がある。創造性と生産性を兼ね備えた「熱狂的チーム」を作るにはどうすればいいのか。

5. 新しいテクノロジー
AI、ドローン、ブロックチェーン、IoTなどハイプ・サイクルでいうところの幻滅期を越え、実用フェーズに入ったテクノロジー。自社のサービスで活かす上でプロダクトマネージャーが知っておくべきこと。

6. PMの採用と育成
プロダクトマネージャーを必要とする企業が多い一方で、まだまだ少ないプロダクトマネジメント経験者。いかにしてPMを採用、育成すれば良いのか。

7. PMに期待するもの
エンジニア、デザイナー、あるいは経営者など、プロダクトマネージャーと共に働く人達は、プロダクトマネージャーに何を求めているのか。

8. ケーススタディ
新規プロダクト開発やグロースハックの具体的なケーススタディ

はい、かなり盛りだくさんな内容です。どうでしょう?こんな内容のカンファレンスがあったら、すごく参加してみたくなりませんか?僕は参加したいです。

というわけで実行委員では現在、登壇を依頼する方のリストアップを行っているのですが、登壇候補についてはぜひ皆さまのご要望をお聞かせいただきたいと思っております。それぞれのテーマについて「ぜひこの人に登壇して欲しい」「この人の話を聞いてみたい」という方をお教えください。

docs.google.com

候補の方はプロダクトマネージャーに限定しなくて結構です。また、プロダクトマネージャーの方から以外のアンケート回答も歓迎です。複数回ご回答いただいてもOKです。

実行委員一同、皆さまと共に良いカンファレンスを作りたいと思っております。ぜひご協力をお願い致します!

GEの復活とプロダクトマネージャー制

 GEが「シリコンバレー式」の価値創造プロセスを取り入れる過程を取材して書籍化した本書。めちゃ面白い。

GE 巨人の復活

GE 巨人の復活

 

 リーマン・ショックを機に金融業から製造業に回帰し、さらに「as a Service」化。断片的にニュース記事で見知っていたことがストーリーとして繋がって、ここまで本当にやったのかと感銘を受ける。レガシー産業をテクノロジーで刷新するxTechが注目されるようになって久しいけど、GEはまさに製造業をITで刷新している。すごく学ぶところが多い。

製品化まで5年かかる自社と、Bulid-Measure-Learnを繰り返して短期間でイノベーションを起こすシリコンバレーのスタートアップを比較して、GEはこのままでは滅びると危機感を持つ。そこから変化していく。リーンスタートアップやデザイン思考に学んでFastWorkという自社独自のフレームワークを作り、社内に浸透させる。

GEがIT企業として生まれ変わるために必要となった人材として、プロダクトマネージャーの話が出てくる。一部引用して紹介。

インダストリアルインターネットを実現するというミッションを達成するために、GEはそれまで社内に存在しなかった新しいタイプの人材の採用も始めた。それがソフトウェアの「プロダクトマネージャー」だ。
プロダクトマネージャーとはシリコンバレーのソフトウェア会社には必ず存在する職種で、ソフトウェア製品の機能を決定し、プログラム開発を指揮して、完成した製品を商品として市場に送り出すところにまで責任を負う。
(中略)
どのような機能を実現すれば本当に顧客を満足させられるのか、それを考えるのがプロダクトマネージャーの仕事だ。必要だと考えた機能が本当に実現できるかどうかを判断するのもプロダクトマネージャーの務めになる。

あのGEが導入したプロダクトマネージャー制、あなたの会社ではまだ導入していないのですか?😎

プロダクトマネージャーなんていらない?

プロダクト開発において「プロダクトマネジメント」は必須だ。ユーザー課題を解決できる、技術的/社会的に実現可能、経済的継続性がある(要は儲かる)、そんなプロダクトを定義して実現し、世に送り出すこと。ざっくり言うとこれがプロダクトマネジメントである。

一方で、「プロダクトマネージャー」という役割が必須かというと、それは状況に依る。明確にプロダクトマネージャーという肩書を持つ人間がいなくても、正しくプロダクトマネジメントが行われる開発プロジェクトだってある。

  1. 各メンバーのスキルの合計が、プロダクトマネジメントが正しく行われる上で必要なスキルセットを網羅している
  2. メンバーが自分の職能の領分以外のタスクを実行することを厭わない
  3. 職能が異なるメンバーが自律的にコラボレーションしている、もしくはコラボレーションを促進するリーダー役がいる

こんなチームだったらプロダクトマネージャーは不要か、かなり限定的な役割になるだろう。あるいは「今回は私がプロダクトマネージャーね」と持ち回り制になるかもしれない。僕が今所属している会社はそういう方向に組織が成熟していくんじゃないか、という気がなんとなくしている。現プロダクトマネージャーの人たちは、事業責任者だったりプロダクトマネジメントを開発チームに定着させるコーチのような役割に仕事が変わっていくのかもしれない。これは悪いことではない。というよりとても良いことだと思っている。

ホラクラシーという組織形態がある。上意下達式の意思決定が行われる階層型組織ではなく、意思決定が組織全体に分散されたフラットな組織形態のことだ。

ホラクラシー組織で意思決定が分散されるように、プロダクトマネジメントがプロダクト開発組織に分散していくケースが増えるのでは、と思っている。プロダクト開発組織の成熟度が増すに従って、プロダクトマネージャーの役割が縮小していく。

ホラクラシー組織は「課長」みたいな中間管理職っていらないよな、という組織だ。ホラクラシー組織の構成員には一定レベルの主体性やスキルが要求されると思われるし、ホラクラシーに移行できる組織ばかりではないだろう。だから当分の間「課長」は必要だ。同様にプロダクトマネジメントをチームで実行する組織がある一方で、そうでない組織もある。メンバーの仕事の範囲が職能の境界を越えないような組織だ(エンジニアはコードを書きたいし、デザイナーはデザインしたい、という組織)。そういうチームではプロダクトマネージャーが必要になる。

で、ここからが本論なんだが、プロダクトマネージャーの仕事は、「なりゆきだとプロダクトマネジメントが行われない組織」において、「プロダクトマネジメントが行われるようにすること」だ。そのためにはどんなスキルが必要か、ということを書こうと思ったんだが長くなったのでまた次回に。